基礎法学6:裁判外紛争解決手続(ADR)

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裁判外紛争手続とは?

裁判外紛争解決手続とは、裁判によらないで民事紛争を解決しようとする手続のことであり、ADR(Alternarive Disqute Resolution)とも呼ばれる。具体的には、和解あっせん調停仲裁などの手続がある。

裁判と裁判外紛争手続の違いは以下の通り。

裁判裁判外紛争解決手続
長所厳格な手続により、慎重かつ公正な判断を受けることができる安い費用で簡易迅速な紛争解決をすることができる
相手方の
合意
不要必要
手続の公開原則として公開通常は非公開
解決案の
拒否
不可朝廷の場合は可能、仲裁の場合は不可

和解

和解とは?

和解とは、紛争当事者相互の譲歩(互譲)によって争いを解消し、新しい法律関係を契約によって設定すること。

和解の種類

①裁判外の和解(和解契約)

裁判外の和解とは、裁判所の関与なしに紛争当事者間で和解契約を締結することをいう。
この和解契約が成立すると、たとえ反対の確証がでたとしても、それによって何ら影響を受けない(民法696条)。

②裁判上の和解(訴訟上の和解)

裁判上の和解とは、訴訟の継続中に、期日において訴訟当事者間で和解することをいう。

裁判上の和解の場合も、その内容を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法267条

③特定和解

特定和解とは、認証紛争解決手続1において紛争の当事者間に成立した和解であり、当該和解に基づいて民事執行をすることができる旨の合意がされたもののこと。

この特定和解は、裁判を起こさなくても強制執行を可能とするものであり、令和5年の裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律の改正により新設された。

あっせん

あっせんとは、あっせん員が紛争当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、事件が解決されるように努めるもののこと。

労働争議や公害紛争処理においては、あっせんによる紛争の解決が認められている。

調停

調停とは?

調停とは、裁判官1人と民間人の調停委員2人以上で構成される調停委員会が、紛争当事者を仲介して紛争を処理する手続のこと。

この調停は、法の基準によるものではなく、当事者の互譲により条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とした紛争解決方法。

調停前置主義

家事事件手続法に基づき調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に調停の申立てをしなければならない(家事事件手続法257条1項)。これを調停前置主義という。

調停前置主義が採用されたのは、合意による紛争処理を促進するため。

仲裁

仲裁とは、紛争当事者が争いの解決のために第三者(仲裁人)を選び、その判断によって紛争を解決すること。これは、特に商人間の紛争解決手法として古くから発達してきたもの。

この仲裁においては、第三者の仲裁判断に当事者が拘束される点が特徴。

  1. 認証紛争解決手続:法務大臣の認証を受けた業務として行う民間紛争解決手続 ↩︎
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