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事案
村の発注する公共工事の指名競争入札に平成10年度まで継続的に参加していた村外業者が、平成11年度から16年度までの間、村長により違法に指名を回避されたと主張し、国家賠償請求訴訟を提起した。
結論

国家賠償請求は認められる。
判旨
- ①損害業者排除の合理性
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地方公共団体が、指名競争入札に参加させようとする者を指名するにあたり、
- イ:工事現場への距離が近く現場に関する知識等を有していることから契約の確実な履行が期待できることや、
- ロ:地元の経済の活性化にも寄与することなどを考慮し、地元企業を優先する指名を行うこと
については、その合理性を肯定することができるものの、イまたはロの観点からは村内業者と同様の条件を満たす村外業者もあり得るのであり、価格の有利性確保(競争性の低下防止)の観点を考慮すれば、考慮すべき他の諸事情にかかわらず、およそ村内業者では対応できない工事以外の工事は村内業者のみを指名するという運用について、常に合理性があり裁量権の範囲内であるということはできない。
- ②裁量権の逸脱・濫用
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村長が、法令の趣旨に反して村内業者のみを指名する運用方針の下に、損害業者に当たることのみを理由として、その業者を指名競争入札に参加させない措置を採ったとすれば、それは、考慮すべき事項を十分考慮することなく一つの考慮要素にとどまる村外業者であることのみを重視している点において極めて不合理であり、社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず、裁量権の逸脱または濫用にあたる。