憲法解説(6):経済的自由権

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職業選択の自由

職業選択の自由22条1項)とは、自分の職業を自由に決定できる権利。
職業選択の自由に対する規制には、国民の生命・健康に対する危険を防止・除去・緩和するために課せられる消極的・警察的規制と、福祉国家の理念に基づき経済の調和のとれた発展を確保し特に社会的・経済的弱者保護のために課せられる積極的・政策的規制がある。

小売市場事件(最大判昭47.11.22)
薬局距離制限事件(最大判昭50.4.30)
公衆浴場距離制限事件(最判平1.1.20)

居住・移転の自由

居住・移転の自由22条1項)とは、自分の住所を自由に決定したり、自由に別の場所に移動できる権利。
居住・移転の自由が確立した近代社会に移行して初めて資本主義経済の基礎が整うことになったという歴史的背景から、居住・移転の自由は経済的自由権の1つとされている。

外国移住・国籍離脱の自由

外国移住の自由

外国移住の自由22条2項)とは、外国へ定住するするための海外渡航をする自由のこと。

国籍離脱の自由

大日本帝国憲法時代の国籍法では、個人の自由意思で国籍を離脱することは認められていなかったが、日本国憲法は、国籍離脱の自由を認めている(22条2項)。

財産権

財産権とは

財産権とは、自分の財産を自由に使う権利のこと。29条1項は「財産権は、これを侵してはならない」と規定しているが、これは私有財産制度を保障しているのみでなく、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障したものとされている。(森林法共有林事件:最大判昭62.4.22)

財産権の制限

法律による制限

財産権の内容は公共の福祉に適合するように、法律でこれを定めることとされている(29条2項
これは、財産権については法律による一般的な制約が許容されることを明らかにしたもの。

森林法共有林事件(最大判昭62.4.22)

条例による制限

財産権の内容は「法律」で定めるものとされているので、条例により財産権を制限できるかが問題となる。

奈良県ため池条例事件(最大判昭38.6.26)

損失補償

損失補償とは、適法な行政作用により生じた損失を金銭で穴埋めしてもらう制度(29条3項
損失補償については行政法にて。

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