憲法9:参政権・国務請求権とは?選挙権・裁判を受ける権利などの基本をわかりやすく解説憲法

🔸この記事はこんな人におすすめ
  • 憲法の「基本的人権」の学習でつまずいている方
  • 「参政権」と「国務請求権」の中身をしっかり理解したい方
  • 行政書士試験の憲法で得点を伸ばしたい方
  • 判例の要点を簡潔に押さえたい方
目次

参政権とは?

参政権とは、国民が政治に参加するための権利です。国民一人ひとりが、直接・間接的に国家の政治に関与することができるよう、憲法で保障されています。代表的な参政権には、以下のようなものがあります。

選挙権とは?

選挙権は、国民が選挙人として、議員などの公職に就く人を選ぶことができる権利です。要するに、「投票する権利」のことです。
選挙権は、成年年齢の引下げにより、現在では18歳以上の日本国民に与えられています。

さらに、選挙には次のような原則があります。

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意義憲法上の規定反対の概念
普通選挙財力・教育・性別などを選挙権の要件としない制度成年者による直接選挙の保障(15条3項)制限選挙
平等選挙選挙権の価値は平等。1人1票を原則とする制度平等原則から導かれる
14条1項44条
複数選挙
等級選挙
秘密選挙誰に投票したかを第三者に知られない方法で行う制度15条4項公開選挙
直接選挙選挙人が公務員を直接選挙する制度地方公共団体の選挙のみ明文規定あり(93条2項)間接選挙
複選制
自由選挙危険しても罰金・公民権停止・氏名の公表などの不利益を受けない制度明文規定なし強制投票

・最大判昭30.2.9

被選挙権とは?

被選挙権とは、自らが立候補することができる権利、つまり「立候補の自由」です。

憲法15条1項では立候補の自由を直接は規定していませんが、最高裁判所はこの立候補の自由も重要な基本的人権の一つとして認めています(三井美唄事件:最大判昭43.12.4)。

・三井美唄事件:最大判昭43.12.4

国務請求権とは?

国務請求権とは、国や地方公共団体に対して、一定の行為を請求できる権利のことです。個人が国家に対して積極的に働きかけることを認める権利として、以下のようなものがあります。

請願権

請願権16条)とは、国や地方公共団体の機関に対して職務に関する希望を述べる権利です。これは、誰でも自由に行使することができます。

ただし、請願を受け取った機関には「誠実に処理する義務」があるものの、請願の内容について審理したり判断したりする法的義務までは負いません請願法5条)。

裁判を受ける権利

裁判を受ける権利32条とは、誰もが平等に、政治から独立した公平な裁判所で正当な裁判を受けることができるという権利です。
この権利により、行政機関などの「裁判所以外の機関」により不当に裁かれることはありません。

・最大判昭24.3.23

国家賠償請求権

国家賠償請求権17条とは、公務員の不法行為によって損害を受けたときに、国や地方公共団体に対して損害賠償を請求できる権利です。
これは、国家権力の行使によって被害を受けた国民を救済する重要な制度です。

・郵便法違憲判決:最大判平14.9.11

刑事補償請求権

刑事補償請求権40条は、31条以下の刑事手続きに関する諸権利の保障によっても、なお生じる国民の不利益に対する補償を定めた権利権利です。

ここでポイントとなるのが、国家賠償請求権と違って、公務員の違法性や過失の有無に関係なく補償が認められる点です。つまり、たとえ手続きに問題がなかったとしても、最終的に無罪になれば補償される仕組みとなっています。

・最決平3.3.29

✅まとめ

参政権と国務請求権は、国民が主体的に政治や行政に関わり、自らの権利を守るための重要な基本的人権です。行政書士試験では、それぞれの権利の定義だけでなく、関連する条文や判例も押さえることが合格へのカギとなります。

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