会社法7-4:「会社分割」とは?吸収分割と新設分割の違い・手続・効力までやさしく解説

この記事はこんな人におすすめ
  • 「会社分割ってなに?」と基本から学びたい方
  • 行政書士試験で会社法を勉強している方
  • 吸収分割と新設分割の違いがよくわからない方
  • 分割の手続きや効力発生日を整理したい方
目次

会社分割とは?意味と目的をやさしく解説

会社分割とは、1つの会社を2つ以上の会社に分けることをいいます。

たとえば、複数の事業を持つ会社が、そのうち赤字の部門だけを他の会社に移すことで、経営の効率化や立て直しを図るといったケースがあります。こうした場合に使われるのが「会社分割」です。

会社分割には、吸収分割新設分割の2種類がある。

吸収分割とは?

吸収分割とは、既存の会社に事業の一部または全部を引き継がせる方法です。

具体的には、株式会社または合同会社(分割会社・A社)が持っている権利や義務の全部または一部を、既存の別会社(承継会社・B社)に引き継がせることを指します(2条29号)。

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config:
  theme: neutral
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flowchart TB
 A["A社<br>甲事業・乙事業<br>(吸収分割会社)"] -.->A2["A社<br>乙事業"] 
 B["B社<br>丙事業<br>(吸収分割承継会社)"]  -.->  B2["B社<br>甲事業・丙事業"]
 A -->|甲事業の権利義務| B2

新設分割とは?

新設分割とは、新たに会社をつくって、そこに事業を引き継がせる方法です。

こちらも、株式会社や合同会社(分割会社・A社)の権利や義務の全部または一部を、新しく設立される会社(設立会社・B社)に引き継がせるという形です(2条30号)。

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config:
  theme: neutral
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flowchart TB
 A["A社<br>甲事業・乙事業<br>(新設分割会社)"] -.-> A2["A社<br>乙事業"] 
 A  -->|甲事業の権利義務|B["B社<br>甲事業<br>(新設分割設立会社)"]

会社分割の手続きはどうなっている?

分割の手続きは、大まかには合併の場合と同じような流れになります。

吸収分割
 → 分割する会社(A社)は「吸収合併消滅会社」と同じ手続
 → 引き継ぐ会社(B社)は「吸収合併存続会社」と同じ手続

新設分割
 → 分割する会社(A社)は「新設合併消滅会社」と同じ手続
 → 設立される会社(B社)は「新設合併設立会社」と同じ手続

つまり、合併と似たような法的フレームワークが適用されると理解しておくとよいでしょう。

効力が発生するタイミングは?

会社分割による承継の効力がいつ発生するかは、分割の種類によって異なります。

吸収分割の場合

効力発生日に、承継会社(B社)が分割会社(A社)の権利義務を引き継ぎます(759条1項761条1項)。

新設分割の場合

新しく設立された会社(B社)が成立の日に、分割会社(A社)の権利義務を引き継ぎます(764条1項766条1項)。

会社分割が無効になることはある?

会社分割も合併と同様に、「無効だ!」と主張できる場合があります。ただし、その方法は限定されています。

無効を主張するには、訴え(裁判)によってのみ行うことができるとされています(828条9号・10号)。

つまり、口頭や書面で一方的に「この分割は無効だ!」とは言えないということです。

まとめ:会社分割の基本はここを押さえる!

項目吸収分割新設分割
事業の承継先既存の会社新たに設立する会社
手続吸収合併と同様新設合併と同様
効力発生日定めた効力発生日設立会社の設立日
無効主張の方法訴えによるのみ訴えによるのみ

会社分割は、企業の再編や事業の選択と集中を進める上で重要な制度です。行政書士試験でも頻出の分野なので、用語の違いと手続きのポイントをしっかり理解しておきましょう。

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