会社法7-5:株式交換・株式移転とは?図解でわかる完全親子会社のしくみ

✅この記事はこんな人におすすめ
  • 「株式交換」と「株式移転」の違いをわかりやすく理解したい方
  • 完全親子会社の仕組みを行政書士試験の対策として学びたい方
  • 難しい条文の表現をやさしく整理して覚えたい方
目次

株式交換・株式移転とは?~完全親子会社を作る手続き~

株式交換」と「株式移転」は、どちらも完全親子会社を作るための制度です。
ここでいう「完全親子会社」とは、親会社が子会社の発行済株式をすべて保有している関係をいいます。

この2つの制度は、親子会社の関係をスムーズに、簡易的に作るための手続きとして活用されます。

株式交換とは?

株式交換とは、ある株式会社(以下「A社」)が、その発行済株式のすべてを他の会社(以下「B社」)に取得させることをいいます(2条31号)。
B社は、既に存在する株式会社または合同会社です。

この手続により、B社はA社のすべての株式を持つことになり、A社はB社の完全子会社になります。

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
 A["A社<br>(株式交換完全子会社)"] -->|発行済株式の全部| B["B社<br>(株式交換完全親会社)"] 

株式移転とは?

株式移転とは、1社または複数の株式会社(以下「A社」)が、その発行済株式のすべてを、新たに設立する株式会社(以下「B社」)に取得させることをいいます(2条32号)。

B社は、新たに設立される会社であり、設立と同時にA社の株式をすべて取得します。
結果として、A社はB社の完全子会社となります。

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
B1["B社<br>"] -.->|設立| B2
 A["A社<br>(株式移転完全子会社)"] -->|発行済株式の全部| B2["B社<br>(株式移転設立完全親会社)"] 

手続上の違いと注意点

続上の違いと注意点

株式交換株式移転における手続は、以下のように合併の手続になぞらえて考えられます。

区分手続のイメージ対象会社
株式交換(親)吸収合併の「吸収合併存続会社」と同様B社(既存会社)
株式交換(子)吸収合併の「吸収合併消滅会社」と同様A社
株式移転(親)新設合併の「新設合併設立会社」と同様B社(新設会社)
株式移転(子)新設合併の「新設合併消滅会社」と同様A社

ただし、合併と異なり、株式交換・株式移転では会社の財産自体は移動しないため、債権者保護手続は不要とされています。
ここが合併との大きな違いです。

効力が発生するタイミング

それぞれの手続で、親会社が株式を取得して完全親子会社関係が成立するタイミングは次の通りです。

株式交換の場合

株式交換完全親会社は、効力発生日に、株式交換完全子会社の発行済株式(株式交換完全親会社の有する株式交換完全子会社の株式を除く)の全部を取得する(769条1項771条1項)。

株式移転の場合

株式移転設立完全親会社は、その成立の日に、株式移転完全子会社の発行済株式の全部を取得する(774条1項)。

株式交換・株式移転無効の訴え – 無効の主張は「訴え」によってのみ可能

株式交換・株式移転に関しては、合併と同様に、無効を主張するには訴訟を起こす必要があります828条1項11号・12号)。
つまり、「手続が違法だから無効だ!」という主張は、裁判所での訴えによらなければ認められません。

まとめ|株式交換・株式移転の違いと共通点

項目株式交換株式移転
親会社既存の会社新たに設立される会社
子会社既存の会社既存の会社
目的完全親子会社の形成
債権者保護手続原則として不要
無効主張訴えによってのみ可能
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