この記事はこんな人におすすめ
- 「株式交付って株式交換とどう違うの?」と疑問を持っている方
- 会社法の改正ポイントをしっかり押さえておきたい方
- 行政書士試験の会社法分野で得点源を増やしたい方
目次
株式交付とは?かんたんに言うと…
株式交付とは、ある株式会社(A社)が、他の株式会社(B社)を子会社にするために、B社の株式をもらい、その代わりに自社の株式(A社の株式)を渡す手続きのことです(2条32号の2)。
つまり、「自社の株式をあげる代わりに、相手会社の株式をもらう」という交換が行われ、その結果、相手会社を子会社にできます。
なぜ新しく「株式交付」ができたの?
別の手段として子会社化の手段として「株式交換」がありましたが、これは相手会社(B社)の発行済株式をすべて取得しなければなりませんでした。
つまり、「一部だけ取得して子会社にする」という柔軟な方法がなかったのです。
そこで、令和元年の会社法改正によって、新しく「株式交付」という仕組みが導入されました。
これにより、全部ではなく一部の株式取得でも、子会社化が可能になりました。
--- config: theme: neutral --- flowchart TB A["A社<br>(株式交付親会社)"] -->|A社株式| B社株主["B社株主"] B社株主 -->|B社株式| A B1["B社<br>(株式交付子会社)"] --> B社株主
株式交付の手続き
株式交付親会社を行う会社(=親会社となるA社)には、合併と同じような手続きが必要です。
たとえば、株主総会の特別決議などが必要になります。
一方で、株式を渡す側の会社(=子会社になるB社)には、特別な手続きは求められていません。
株式交付の効力が発生するタイミング
株式交付の効力が発生する日(効力発生日)には、以下のようなことが起きたとみなされます。
- 親会社(A社)は、子会社(B社)の株式を取得したことになる(774条の11第1項)。
- 子会社の株式を渡した人(譲渡人)は、親会社(A社)の株主となる(774条の11第2項)。
株式交付無効の訴え
株式交付についても、合併と同様に、訴えをもってのみ無効を主張することができる(828条1項13号)。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
株式交付とは? | 自社株を渡して、相手会社の株をもらい、子会社化する仕組み |
創設の背景 | 株式交換では「全株取得」が必要だったため、柔軟な手段として新設 |
手続 | 親会社に合併と同様の手続が必要/子会社側に特別な手続は不要 |
効力発生日 | 親会社はB社株を取得、譲渡人はA社株主になる(774条の11) |
無効の訴え | 訴訟によって無効を主張できる(828条1項13号) |