商法2-7:「運送営業」とは?物品運送・旅客運送の違いと運送人の責任をわかりやすく解説

この記事はこんな人におすすめ
  • 「運送営業」ってなに?と疑問に思っている行政書士受験生
  • 商法の「運送契約」について、条文ベースで理解を深めたい方
  • 物品運送と旅客運送の違い、運送人の責任範囲を明確にしておきたい方
目次

運送営業とは?

運送営業」とは、物や人を場所的に移動させることを内容とする営業をいいます。
このうち、を運ぶものを「物品運送」、を運ぶものを「旅客運送」といいます。

物品運送とは?─荷物を預かって運ぶ契約

物品運送とは、荷送人(=荷物の依頼主)から委託を受けた運送人が、荷物を保管しながら目的地まで運ぶことをいいます。

◆ 送り状の交付(571条)

運送契約を明確にするために、運送人の請求により、荷送人は「送り状」を交付しなければなりません571条1項)。
この送り状には、運送品の内容や到達地などの情報が記載され、これにより運送契約の内容を運送人にしらせます。

sequenceDiagram
autonumber

actor 荷送人
actor 運送人

荷送人 ->> 運送人:物品の委託
note over 荷送人,運送人:送り状
運送人 ->> 到達地:保管・運送

◆運送賃は支払わなければならない(573条2項)

運送品がその性質または瑕疵によって荷物が滅失(なくなる)・損傷してしまった場合でも、荷送人は運送賃を支払わなければなりません573条2項)。
※ただし、別途損害賠償の請求が可能な場合があります。

運送人の損害賠償責任(575条)

運送人は、荷物の受取り・運送・保管・引渡しの各段階で注意を怠らなかったことを証明できない限り
荷物の滅失・損傷(その他原因が生じたことを含む)・延着について、損害賠償責任を負うことになります575条)。

◆ 高価品の特例(577条)

貨幣や有価証券などの高価な品物については、荷送人がその「種類」と「価額」を事前に運送人に通知していなければ、損害賠償の対象になりません577条1項)。
つまり、価値の高い物を運んでもらう際は、必ずその内容を通知しておく必要があります。

旅客運送とは?─人を安全に運ぶ契約

旅客運送とは、旅客(=乗客)を目的地まで運ぶことを内容とする運送契約です。
ここでは、旅客そのものだけでなく、手荷物に関する責任も問われます。

sequenceDiagram
autonumber

actor 旅客
actor 運送人

旅客 ->> 運送人:委託
運送人 ->> 目的地:運送

運送人の損害賠償責任

旅客運送の運送人は、以下のような損害賠償責任を負う。

①旅客に対する責任(590条)

運送に関し注意を怠らなかったことを証明できなければ、旅客に損害が発生した場合に損害賠償責任を負うことになります(590条)。

②手荷物に対する責任(592条・593条)
  • 託送手荷物
    旅客から引渡しを受けた手荷物については、運送賃の請求の有無にかかわらず、物品運送の運送人と同一の責任を負います(592条1項)。

  • 携帯手荷物
    旅客から手荷物の引渡しを受けない場合、その滅失・損傷については、故意または過失がない限り、損害賠償責任を負いません(593条1項)。

【まとめ】

運送営業には、「物品運送」と「旅客運送」があり、それぞれの契約や損害賠償責任には明確なルールが定められています。
行政書士試験では条文知識とともに、どの場面でどの規定が適用されるのかを問われることもあります。
この機会にぜひ、要点を押さえておきましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次