- 「運送営業」ってなに?と疑問に思っている行政書士受験生
- 商法の「運送契約」について、条文ベースで理解を深めたい方
- 物品運送と旅客運送の違い、運送人の責任範囲を明確にしておきたい方
運送営業とは?
「運送営業」とは、物や人を場所的に移動させることを内容とする営業をいいます。
このうち、物を運ぶものを「物品運送」、人を運ぶものを「旅客運送」といいます。
物品運送とは?─荷物を預かって運ぶ契約
物品運送とは、荷送人(=荷物の依頼主)から委託を受けた運送人が、荷物を保管しながら目的地まで運ぶことをいいます。
◆ 送り状の交付(571条)
運送契約を明確にするために、運送人の請求により、荷送人は「送り状」を交付しなければなりません(571条1項)。
この送り状には、運送品の内容や到達地などの情報が記載され、これにより運送契約の内容を運送人にしらせます。
sequenceDiagram autonumber actor 荷送人 actor 運送人 荷送人 ->> 運送人:物品の委託 note over 荷送人,運送人:送り状 運送人 ->> 到達地:保管・運送
◆運送賃は支払わなければならない(573条2項)
運送品がその性質または瑕疵によって荷物が滅失(なくなる)・損傷してしまった場合でも、荷送人は運送賃を支払わなければなりません(573条2項)。
※ただし、別途損害賠償の請求が可能な場合があります。
運送人の損害賠償責任(575条)
運送人は、荷物の受取り・運送・保管・引渡しの各段階で注意を怠らなかったことを証明できない限り、
荷物の滅失・損傷(その他原因が生じたことを含む)・延着について、損害賠償責任を負うことになります(575条)。
◆ 高価品の特例(577条)
貨幣や有価証券などの高価な品物については、荷送人がその「種類」と「価額」を事前に運送人に通知していなければ、損害賠償の対象になりません(577条1項)。
つまり、価値の高い物を運んでもらう際は、必ずその内容を通知しておく必要があります。
旅客運送とは?─人を安全に運ぶ契約
旅客運送とは、旅客(=乗客)を目的地まで運ぶことを内容とする運送契約です。
ここでは、旅客そのものだけでなく、手荷物に関する責任も問われます。
sequenceDiagram autonumber actor 旅客 actor 運送人 旅客 ->> 運送人:委託 運送人 ->> 目的地:運送
運送人の損害賠償責任
旅客運送の運送人は、以下のような損害賠償責任を負う。
- ①旅客に対する責任(590条)
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運送に関し注意を怠らなかったことを証明できなければ、旅客に損害が発生した場合に損害賠償責任を負うことになります(590条)。
- ②手荷物に対する責任(592条・593条)
【まとめ】
運送営業には、「物品運送」と「旅客運送」があり、それぞれの契約や損害賠償責任には明確なルールが定められています。
行政書士試験では条文知識とともに、どの場面でどの規定が適用されるのかを問われることもあります。
この機会にぜひ、要点を押さえておきましょう!