【重要】最大判平23.11.16(裁判員制度の合憲性)

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事案

覚せい剤営利目的輸入罪などで起訴された被告人が、裁判員裁判によって懲役9年および罰金400万円の有罪判決を受けたため、裁判員制度が憲法に違反するとして争った。

結論

裁判員制度は憲法に違反しない。

判旨

  • 刑事裁判の基本的な担い手について
    裁判は、証拠に基づいて事実を明らかにし、これに法を適用することによって、人の権利義務を最終的に確定する国の作用であり、取り分け、刑事裁判は、人の生命すら奪うことのある強大な国権の行使である。

    そのため、多くの近代民主主義国家において、それぞれの歴史を通じて、刑事裁判権の行使が適正に行われるよう種々の原則が確立されてきた。

    基本的人権の保障を重視した憲法では、特に31条から39条において、適正な刑事裁判を実現するための諸原則を定めており、そのほとんどは、各国の刑事裁判の歴史を通じて確立されてきた普遍的な原理ともいうべきものである。

    刑事裁判を行うにあたっては、これらの諸原則が厳格に遵守されなければならず、それには高度の法的専門性が要求される。

    憲法は、これらの諸原則を規定し、かつ、三権分立の原則の下に、「第6章 司法」において、裁判官の職務行使の独立と身分保障について周到な規定を設けている。

    こうした点を総合考慮すると、憲法は、刑事裁判の基本的な担い手としての裁判官を想定していると考えられる。

  • 国民の司法参加について
    他方、歴史的、国際的な視点から見ると、欧米諸国においては、上記のような手続の保障とともに、18世紀から20世紀前半にかけて、民主主義の発展に伴い、国民が直接司法に参加することにより裁判の国民的基盤を強化し、その正当性を確保しようとする流れが広がり、憲法制定当時の20世紀半ばには、欧米の民主主義国家の多くにおいて陪審制か参審制が採用されていた。

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