【重要】最判平18.2.7:呉市学校施設使用不許可事件

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事案

広島県の公立小中学校等に勤務する教職員によって組織された職員団体が、その主催する広島県教育研究集会の会場として、呉市立中学校の体育館等の学校施設の使用を申し出たところ、呉市教育委員会から使用不許可処分を受けたため、これが違法であると主張して国家賠償請求訴訟を提起した。

結論

国家賠償請求は認められる。

判旨

  1. 学校施設の目的外使用許可における裁量
    学校施設の目的外使用を許可するか否かは、原則として、管理者の裁量に委ねられている
    すなわち、学校教育上支障がないからといって当然に許可しなければならないものではなく、行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的・態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により、使用許可をしないこともできる。

  2. 裁量判断の際、考慮される事情
    管理者の裁量判断は、許可申請に係る使用の日時・場所・目的・態様、使用者の範囲、使用の必要性の程度、許可をするにあたっての支障または許可をした場合の弊害もしくは影響の内容および程度、代替施設確保の困難性など、許可をしないことによる申請者側の不都合または影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものである。

  3. 使用許可処分の違法性
    本件中学校およびその周辺の学校や地域に混乱を招き、児童生徒に教育上悪影響を与え、学校教育に支障を来すことが予想されるとの理由で行われた本件不許可処分は、重視すべきでない考慮要素を重視するなど、考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており、他方、当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず、その結果、社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものということができる。

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