目次
事案
神戸税関職員は、同僚職員に対する懲戒処分について抗議行動や各種の組合活動において指導的役割を果たして業務の処理を妨げたとして、国家公務員法に基づき懲戒免職処分を受けたため、本件処分の無効確認訴訟および取消訴訟を提起した。
結論

請求棄却
判旨
- 懲戒権者の裁量権の有無
懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因・動機・性質・態様・結果・影響等のほか、当該公務員の行為が前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員および社会に与える影響等、諸般の事情を考慮した上で、懲戒権者に委ねられた合理的な裁量に基づいて、処分を行うかどうか、そして処分を行う場合にいかなる種類・程度を選ぶかを判断することができる。 - 懲戒処分の適否の判断基準
裁判所が懲戒処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をすべきであったかどうか、または、いかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずるべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り適法であると判断すべきものである。