【重要】最判平23.6.7:不利益処分と理由の提示の程度

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事案

国土交通大臣から建築士法に基づき一級建築士免許取消処分を受けた者が、当該処分は理由の提示の要件を欠いた違法なものであると主張して、当該処分の取消訴訟を提起した。

結論

当該処分は違法である。

判旨

  • 理由の提示の違法性の判断基準
    行政手続法14条1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名あて人に示さなければならないとしているのは、名あて人に直接に義務を課し、またはその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名あて人に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものと解される。そして、同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは、上記のような同項本文の趣旨に照らし、当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る処分基準の存否および内容ならびに好評の有無、当該処分の性質および内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである。

  • 本件理由の提示の違法性
    建築士に対する懲戒処分に際して同時に示されるべき理由としては、処分の原因となる事実および処分の根拠法条に加えて、本件処分基準の適用関係が示されなければ、処分の名あて人において、上記事実および根拠法条の提示によって処分要件の該当性に係る理由は知り得るとしても、いかなる理由に基づいてどのような処分基準の適用によって当該処分が選択されたのかを知ることは困難であるのが通例である。

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