目次
事案
飛行場の周辺に居住する住民が、航空機の騒音により精神的・身体的被害を受けていると主張し、国に対して航空機の運航の差止め訴訟を提起した。
結論

差止め訴訟は適法
判旨
- ①差止め訴訟の訴訟要件
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処分がされることにより「重大な損害を生ずるおそれ」があるとみとめられるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難な物であることを要する。
- ②本件へのあてはめ
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原告らは、本件飛行場に係る第一種区域内に居住しており、本件飛行場に離着陸する航空機の発する騒音により、睡眠妨害、聴取妨害および精神的作業の妨害や、不快感、健康被害への不安等を始めとする精神的苦痛を反復継続的に受けており、その程度は軽視し難いものというべきであるところ、このような被害の発生に自衛隊機の運航が一定程度寄与していることは否定しがたい。
また、上記損音は、本件飛行場において内外の情勢等に応じて配備され運航される航空機の離着陸が行われる度に発生する者であり、上記被害もそれに応じてその都度発生し、これを反復継続的に受けることにより蓄積していくおそれのあるものであるから、このような被害は、事後的にその違法性を争う取消訴訟等による救済になじまない性質のものということができる。