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事案
国道56号線の一部区間では、しばしば落石や崩土があり、道路管理者である国は「落石注意」等の標識を立てたりして通行者に注意を促していたが、落石によりトラックの助手席に乗っていた青年が死亡した。そこで、遺族らが、国に対して、国家賠償請求訴訟を提起した。
結論

国家賠償請求は認められる。
判旨
- ①営造物の設置・管理の瑕疵の意味
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国家賠償法2条1項の営造物の設置または管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいい、これに基づく国または公共団体の賠償責任については、その過失を必要としない。
- ②予算措置の困却を理由とする免責の有無
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本件道路における防護柵を設置するとした場合、その費用が相当に多額に上り、その予算措置に困却するであろうことは推察できるが、それにより直ちに道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れうるものと考えることができない。