目次
事案
当時の社会保険庁に勤務していた国家公務員が、特定の政党を支持する目的で政党機関紙を配布した行為が、国家公務員法110条1項19号・102条1項、人事院規則14-7に違反するとして起訴された。
そこで、国家公務員法および人事院規則の罰則規定の合憲性が争われた。
結論

国家公務員法および人事院規則の罰則規定は合憲だが、本件配布行為は当該罰則規定の構成要件1に該当しない。
判旨
- ①国家公務員法102条1項の「政治的行為」の意味
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国家公務員法102条1項にいう「政治的行為」とは、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが観念的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められたものを指す。
- ②本系配布行為の構成要件該当性
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本件配布行為は、管理職的地位になく、その職務の内容や権限に裁量の余地のない公務員によって、職務と全く無関係に、公務員により組織される団体の活動としての性格もなく行われたものであり、公務員による行為と認識し得る態様で行われたものでもないから、公務員の職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるものとはいえず、本系配布行為は当該罰則規定の構成要件に該当しない。
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