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事案
昭和47年12月10日に行われた衆議院議員選挙について、千葉県第1区の選挙人らが、1票の較差が最大4.99対1に及んでいることが投票価値の平等に反するとして、選挙無効の訴えを提起した。
結論

違憲だが選挙は有効
判旨
- ①投票価値の平等
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sんきょ県の平等は、各選挙人の投票の価値、すなわち各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを含む。形式的に1人1票の原則が貫かれていても、各選挙区における選挙人の数と選挙される議員の数との比率上、各選挙人が自己の選ぶ候補者に投じた1票がその者を議員として当選させるために寄与する効果に大小が生ずる場合には、投票価値が平等であるとはいえない。
投票価値の平等は、選挙制度の決定について国会が考慮すべき唯一絶対の基準ではなく、国会は、衆議院及び参議院それぞれについて他に考慮することのできる事項をも考慮して、公正かつ効果的な代表という目標を実現するために適切な選挙制度を具体的に決定することができる。
投票価値の平等は、原則として、国会が正当に考慮することのできる他の政策目的ないしは理由との関連において調和的に実現されるべきものではあるが、単に国会の裁量権の行使の際における考慮事項の1つにとどまるものではない。
- ②議員定数配分規定の合憲性
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議員定数配分規定は、その性質上不可分の一体をなすものと解すべきであり、単に憲法に違反する不平等を将来している部分のみでなく、全体として違憲の瑕疵がある。
- ③選挙の有効性
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行政事件訴訟法31条1項の基礎に含まれている一般的な法の基本原則に従い、選挙を無効とする旨の判決を求める請求を棄却するとともに、本件選挙が違法である旨を主文で宣言すべきである。
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