目次
事案
税関当局が書籍等の納入にあたってその内容を検査する税関検査の制度が検閲に当たり違憲ではないかが争われた。
結論

合憲。
判旨
- ①検閲の意義
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憲法21条2項にいう「検閲」とは、行政権が主体となって、思想内容等の表現物を対象とし、その全部または一部の発表の禁止目的として、対象とされる一定の表現物につき網羅的一般的に、発表前にその内容を審査した上、不適当と認めるものの発表を禁止することを、その特質として備えるものを指す。
- ②検閲禁止規定の趣旨
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憲法21条2項の検閲禁止規定を憲法が21条1項とは別に設けたのは、公共の福祉を理由とする例外の許容をも認めない趣旨を明らかにしたもので、検閲の絶対的禁止を宣言した者である。
- ③税関検査が検閲に該当するか
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税関検査の場合、表現物は国外で発表済みであり、輸入が禁止されても発表の機会が全面的に奪われるものではない。
また、税関検査は関税徴収手続の一環として行われるもので、思想内容等の網羅的審査・規制を目的としない。
さらに輸入禁止処分には司法審査の機会が与えられている。したがって、税関検査は、検閲に当たらない。
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