目次
事案
労働組合は、市議会議員選挙において、統一候補を擁立することを決定し、これに対抗して立候補しようとした組合員に対して立候補を断念するよう説得したが、この組合員がこれに応じなかったため、組合員としての権利を1年間停止する処分をした。
そこで、この組合員は、当該処分が28条の保障する労働組合の統制権を超えるものであり違法であるとして争った。
結論

違法
判旨
- ①労働組合の統制権と憲法28条
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憲法28条による労働者の団結権保障の効果として、労働組合は、その目的を達成するために必要であり、かつ、合理的な範囲内において、その組合員に対する統制権を有する。
- ②労働組合の統制権と組合員の立候補の事由
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労働組合は、統一候補以外の組合員で立候補しようとする者に対し、立候補を思いとどまるよう勧告・説得をすることはできる。
しかし、勧告・説得の域を超え、立候補を取りやめることを要求し、これに従わないことを理由に当該組合員を統制違反者として処分することは、労働組合の統制権の限界を超えるものとして違法となる。
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