行政法18-3:「実質的当事者訴訟」とは?わかりやすく具体例つきで徹底解説!

この記事はこんな人におすすめ!
  • 行政事件訴訟法の「実質的当事者訴訟」の意味や特徴がよくわからない
  • 形式的当事者訴訟との違いを明確に理解したい
  • 試験で問われる代表的な判例を押さえておきたい
  • 行政書士試験の行政法を効率よく学びたい
目次

実質的当事者訴訟とは?

実質的当事者訴訟」とは、公法上の法律関係に関する確認の訴えその他の公法上の法律関係に関する訴訟のことをいいます(4条後段)。

❗ここがポイント!

  • 公法上の法律関係に関する訴訟であること
  • ただし、行政庁の処分を争う「抗告訴訟」とは異なる
  • 私人と国(行政主体)との間の“対等な立場”での紛争が対象
  • 一方で、私法に基づく争いは民事訴訟になる

つまり、「形式上は公法上の関係だけど、内容は当事者同士の対等な争いになっている」ような訴訟がこれに当たります。

行政事件訴訟の類型

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR

 subgraph 取消訴訟以外の抗告訴訟
  無効等確認訴訟
  不作為の違法確認訴訟
  義務付け訴訟
  義務付け訴訟
  差止め訴訟
  仮の義務付け/仮の差止め
 end

 subgraph 取消訴訟
  処分取消訴訟
  裁決取消訴訟
 end


行政事件訴訟 --> 主観訴訟["主観訴訟<br>国民の個人的な<br>権利の保護"]
 主観訴訟 --> 抗告訴訟
  抗告訴訟 --> 法定抗告訴訟
   法定抗告訴訟 --> 処分取消訴訟
   法定抗告訴訟 --> 裁決取消訴訟
   法定抗告訴訟 --> 無効等確認訴訟
   法定抗告訴訟 --> 不作為の違法確認訴訟
   法定抗告訴訟 --> 義務付け訴訟
   法定抗告訴訟 --> 差止め訴訟
  抗告訴訟 --> 無名抗告訴訟 
 主観訴訟 --> 当事者訴訟
  当事者訴訟 --> 形式的当事者訴訟
  当事者訴訟 --> 実質的当事者訴訟
行政事件訴訟 --> 客観訴訟["客観訴訟<br>客観的な法秩序<br>の適正"]
 客観訴訟 --> 民衆訴訟
 客観訴訟 --> 機関訴訟

click 処分取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh16-1/"
style 処分取消訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh16-1/"
style 裁決取消訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-1/"
style 無効等確認訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-2/"
style 不作為の違法確認訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-3/"
style 義務付け訴訟 color:#1176d4
click 裁決取消訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-4/"
style 差止め訴訟 color:#1176d4
click 仮の義務付け/仮の差止め "https://gs.kabudata-dll.com/gh17-5/"
style 仮の義務付け/仮の差止め color:#1176d4
click 当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-1/"
style 当事者訴訟 color:#1176d4
click 形式的当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-2/"
style 形式的当事者訴訟 color:#1176d4
click 実質的当事者訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh18-3/"
style 実質的当事者訴訟 color:#1176d4,fill:#ffb6c1
click 民衆訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh19-1/"
style 民衆訴訟 color:#1176d4
click 機関訴訟 "https://gs.kabudata-dll.com/gh19-1/"
style 機関訴訟 color:#1176d4

実質的当事者訴訟の具体例【過去の判例から理解しよう】

✅ 例1:日本国籍を有することの確認訴訟(最大判平20.6.4)

「自分が日本国籍を有しているか否か」を裁判で争う訴訟です。国との間に対等な法律関係があるため、実質的当事者訴訟に分類されます。

✅ 例2:在外日本人の選挙権確認訴訟

「海外に住む日本人が選挙権を持っているかどうか」を確認する訴訟。これも実質的当事者訴訟の一つです。

その他、実質的当事者訴訟の例を請求上の内容に性質に照らして見ると、公法上の法律関係に基づく金銭の支払いを求める訴え(例:憲法29条3項に基づいてなした損失補償請求の訴え)のような給付訴訟もある

✅形式的当事者訴訟との違いも押さえよう!

🔍補足:形式的当事者訴訟とは?

当事者間の法律関係を確認しまたは形成する処分・裁決に関する訴訟で、法令の規定によりその法律関係の当事者の一方を被告とするもののことです。

まとめ:実質的当事者訴訟とは?

比較項目実質的当事者訴訟形式的当事者訴訟
主な争点公法上の法律関係の確認など処分・裁決に対する争い
当事者の関係性対等(私人 vs 国など)一見私人同士だが、背景に処分あり
国籍確認訴訟、選挙権確認訴訟損失補償に関する裁決の取消し訴訟

実質的当事者訴訟は、抗告訴訟でも民事訴訟でもない「中間的」な位置づけであるため、行政書士試験ではその定義と具体例をしっかり押さえておくことが重要です。

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