行政法20:教示(行政事件訴訟法)とは?行政庁が行う説明義務の内容とポイントをわかりやすく解説

📌この記事はこんな人におすすめ
  • 「教示って何?どんな意味があるの?」と疑問に思っている方
  • 行政庁が国民に何を教える義務があるのかを正確に理解したい方
  • 行政不服審査法の「教示」との違いをしっかり整理したい行政書士受験生
目次

「教示」とは?

教示(きょうじ)とは、行政庁が処分や裁決を行う際に、その相手方(国民)に対して「この処分に不服がある場合、訴訟で争うことができますよ」と知らせる制度です。

つまり、国民が適切な法的手続きをとれるようにサポートするための、いわば“お知らせ”のようなものです。

この制度の目的は、行政事件訴訟制度をより利用しやすく、わかりやすくすることにあります。

教示の内容とは?

① 取消訴訟に関する教示

行政庁が取消訴訟の対象となる処分や裁決を「書面」で行う場合、次の内容を明記して書面で教示しなければなりません(46条1項本文・2項本文)。

💡「審査請求前置主義」とは、まず行政庁に審査請求をしてからでないと取消訴訟を提起できないというルール。

💡「裁決主義」とは、審査請求を経て裁決が出されたあとでないと訴訟ができないというルールです。

✋ただし注意!

処分が口頭で行われた場合は、この教示義務はありません(46条1項但書・2項但書)。
👉 なぜなら、口頭で行われる処分は比較的軽微なものが多いためです。

行政庁は、取消訴訟を提起することができる処分・裁決を書面でする場合、①被告とすべき者、②、審査請求前置主義が採用されている場合はその旨、④裁決主義が採用されている場合はその旨を、書面で教示しなければならない(46条1項本文・2項本文)。

② 形式的当事者訴訟に関する教示

行政庁が形式的当事者訴訟の対象となる処分や裁決を「書面」で行う場合、次の内容を書面で教示する義務があります(46条3項本文)。

  • 被告とすべき者
  • 出訴期間

こちらも同様に、処分が口頭で行われた場合には教示義務はありません(46条3項但書)。

行政不服審査法と行政事件訴訟法の教示の比較

行政不服審査法行政事件訴訟法
処分の相手方教示義務あり
※口頭で処分をする場合は、教示義務なし
利害関係人教示を求められた場合、教示義務あり
※書面による教示を求められた場合、書面による教示が必要
教示義務なし
誤った教示などの救済規定ありなし

まとめ:教示は国民への「法的手段の案内」

教示制度は、処分を受けた人が自分の権利を守るために、どのような法的手続きがとれるかを知るための大事な案内です。
行政書士試験では、取消訴訟形式的当事者訴訟で教示内容が違う点や、口頭処分には教示義務がない点をしっかり押さえておきましょう!

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