- 「関与」という言葉の意味がピンとこない方
- 地方自治法の関与のルールや原則を整理したい方
- 行政書士試験で地方自治法を学習している方
- 国や都道府県と市町村の関係について詳しく知りたい方
関与とは?国と地方自治体の関係を調整する仕組み
日本では、国・都道府県・市町村といったそれぞれの行政機関が、原則として独立した団体としての地位を持ち、自らの権限を独自に行使します。これを「団体自治の原則」といいます。
しかし、すべてを完全に独立して進めるのが難しい場面もあります。たとえば、広域的な政策を実現したり、法令を全国で統一的に実施したりする必要があるときです。こうしたときに、国が地方公共団体(都道府県・市町村)に対して、または都道府県が市町村に対して影響を与える行為を「関与(かんよ)」といいます。
関与にはルールがある!2つの基本原則
①関与の法定主義
関与は、法律または政令に明確な根拠がある場合に限って行うことができます。
省令や通達のような下位のルールでは、関与を正当化することはできません(245条の2)。
②関与の比例原則
関与は、目的を達成するために必要最小限の範囲で行うことが求められます。
また、地方自治体の自主性や自立性に配慮しなければならないという原則も定められています(245条の3第1項)。
覚えておきたい!関与の8つの基本類型
地方自治法245条第1号・第2号では、関与には以下のような8つの類型があるとしています。
これらは、上位団体が下位団体に対して関与を行う際の代表的な形です。
8つ以外にも関与はある?例外もチェック!
上記の8類型以外にも、地方自治法245条第3号では、特定の行政目的のために、地方公共団体に個別・具体的に関わる行為も「関与」として認められることがあります。
ただし、次のような行為は「関与」には該当しません。
- 利害調整を目的とする裁定(双方を名あて人とする場合)
- 不服申立てに対する裁決や決定
これらは、関与とは性質が異なるため、地方自治法上の関与には該当しないとされています(245条3号かっこ書)。
〇:認められる ×:認められない
まとめ
「関与」とは、国や都道府県が地方自治体に対して一定の影響力を行使する行為のことで、地方自治法に基づく重要な概念です。
関与には法定主義・比例原則といったルールがあり、その種類も明確に分類されています。行政書士試験では、基本原則・8類型・例外事項をセットで押さえておくことが大切です!