基礎法学2:法の効力とは?施行・失効・遡及適用・適用範囲をわかりやすく解説

🎯この記事はこんな人におすすめ
  • 「法の効力って何?どこからどこまで効力があるのかイマイチわからない…」という方
  • 行政書士試験でよく出題される「施行日・失効・遡及適用」などのキーワードをしっかり理解したい方
  • 憲法・法令の基本的な仕組みをおさらいしたい方
目次

法の効力とは?──いつからどこまで法律が効くのか

法の効力」とは、ある法律が「いつから」「どこまで」「どんな場面で」効力を発揮するのかというルールのことです。行政書士試験では、この法の効力について問われることが多く、特に以下のポイントを押さえておく必要があります。

⏳法の効力が生じる「時間的範囲」

法律が効力を持ち始めるタイミング(=施行)

法律は、公布1され」かつ「施行2された」日から効力を持ちます。施行日については、通常「附則」に明記されていることが通例です。3

法律と条令では公布される日施行される日について、次の通り違いがあります。

公布される日施行される日
法律奏上の日から30日以内に交付しなければならない(国会法66条施行期日の定めがあるときを除き、公布の日から起算して20日を経過した日から施行される(法の適用に関する通則法2条)
条例再議その他の措置を講じた場合を除き、条例の送付を受けた日から20日以内にこれを公布しなければならない(地方自治法16条2項特別の定めがあるものを除き、公布の日から起算して10日を経過した日から施行される(地方自治法16条3項

✅ ポイント:公布日と施行日は必ずしも同じではないので要注意!

法律が効力を失うタイミング(=失効)

原則として、法律は改廃(改正や廃止)されるまで効力を持ち続けます。
ただし、有効期間が限定されている「時限法は、その期間が過ぎれば自動的に失効します。

🔁 法の「遡及適用」は原則NG

原則として、法律は過去にさかのぼって効力を持つことはできません(遡及適用の禁止
特に、刑罰など不利益を与えるような規定は、施行前の行為には適用できません(憲法39条にも関係)。45

一方、その法令が人にとって有利な内容であれば、例外的に遡及が認められることもあります。

🌏法の効力が及ぶ「場所的範囲」

基本ルールは「属地主義」

日本の法律は、日本国内にいるすべての人に対して適用されるのが原則です(属地主義)。67

例外的に適用される3つのルール(属地主義の例外)

  1. 属人主義
    属人主義とは、その人の属する国の法令が、その人が国内にいるか国外にいるかを問わず適用されるというルール。8

  2. 保護主義
    保護主義とは、国益を保護するため、その人の国籍や、その人が国内にいるか国外にいるかを問わず、法令を適用するルール。9

  3. 旗国主義
    日本に属する船舶航空機内では、外国の領域内や公開においても日本の法令が効力を有することがある(刑法1条2項)。

  4. 治外法権
    外国の外交使節等の治外法権は、属地主義の例外。

  5. 地方自治特別法
    地域の特性に鑑み、特別の地域に限って規制を行ったり、規制の特例措置をとったりする地方自治特別法も認められている。

📝まとめ:法の効力を押さえる3つの視点

  1. 時間的範囲:施行日・失効日・遡及の有無
  2. 場所的範囲:国内・国外での適用のされ方
  3. 個人への影響:属人・保護・旗国などの例外ルール

行政書士試験では、これらの基本的な考え方を具体例とともに問われることがあります。しっかり押さえておきましょう!

  1. 公布:成立した法令を国民一般に周知させる目的で公示する行為のこと。慣行として官報によることとされている。 ↩︎
  2. 施行:法律の効力を現実に発生させること ↩︎
  3. 参考:施行期日の定めにより、公布日から施行されることもある。 ↩︎
  4. 法令に違反する行為に対して、その法令の執行前に違反行為が行われた場合、その法令の失効後においても処罰を行う事ができる。 ↩︎
  5. 参考:法律の廃止に当たって、廃止前の違法行為に対し罰則の適用を継続する旨の規定をおくことは許される。 ↩︎
  6. 具体例:外国人が日本で窃盗罪を行った場合、日本の刑法が適用される(刑法1条1項↩︎
  7. 参考:渉外的な要素が含まれる事件については、わが国の裁判所が外国の法令を準拠法として裁判を行うことがある。(法の適用に関する通則法36条、38条
    他方、外国の裁判所がわが国の法令を準拠法として裁判をおこなうこともある。(法の適用に関する通則法41条本文↩︎
  8. 具体例:日本人が国外で殺人罪などの重大犯罪を行った場合、日本の刑法が適用される。(刑法3条↩︎
  9. 具体例:外国人が日本国外において内乱罪や通貨偽造罪などの日本の国益を害する犯罪を行った場合、日本の刑法が適用される。(刑法2条↩︎
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