この記事はこんな人におすすめ!
- 「法の解釈ってそもそも何?」と疑問を持っている行政書士受験生
- 文理解釈と論理解釈の違いがピンとこない方
- 試験で出題される「論理解釈の5つの種類」をしっかり押さえておきたい方
目次
法の解釈とは?
「法の解釈」とは、法律の条文が意味する内容を明らかにすることをいいます。
私たちは、法律をそのままの言葉で読むだけではなく、どのように適用するのかを考える必要があります。その際に必ず行うのが「法の解釈」です。
法を解釈する際には、次の2つのバランスをとることが重要です。
- 法的安定性の要請:人や状況の違いにかかわらず、一貫した判断が求められること
- 具体的妥当性の要請:個別の事情に応じて柔軟な対応をする必要があること
つまり、法律を公平に適用しつつも、現実の状況に即した適切な判断を下すことが求められるのです。1
法の解釈の種類
法の解釈には大きく分けて 文理解釈 と 論理解釈 の2つがあります。
文理解釈
文理解釈とは、法律の条文を、普段使っている日本語の意味や文法に従って読む解釈方法です。
基本中の基本であり、多くの場合はこの方法で解釈が可能です。
論理解釈
論理解釈は、文理解釈だけでは適切に条文の意味がつかめないときに、論理的に解釈を加える方法です。
以下の5つのタイプがあります。
意味 | 具体例 | |
拡大解釈 | 文字・文章の意味を常識的意味よりも広げて解釈すること | 刑法38条3項本文の「法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない」との規定の「法律」には、法律のほかに政令・省令・条例・規則なども含むという解釈 |
縮小解釈 | 文字・文章の意味を限定して狭く解釈すること | 民法754条本文の「婚姻中」というのは、形式的に婚姻が継続しているというだけではなく、実質的にもそれが継続しているということをいうとする解釈 |
類推解釈 | ある事項を直接に規定した法規がない場合に、それと類似した事項にを規定した法規を間接的に適用すること | 債務不履行による損害賠償について賠償すべき損害の範囲を定めた民法416条の規定は、不法行為による損害賠償についても適用されるという解釈 |
反対解釈 | ある事項を直接に規定した法規がない場合、他の事項について規定した法規と反対の結論を導き出すこと | 民法96条3項に「詐欺による意思表示は、第三者に対抗することができない」とあることから、「強迫による意思表示は、第三者にも対抗できる」とする解釈 |
勿論解釈 | 文字・文章の意味から当然考えられる事項を導き出すこと | 「自転車の乗り入れ禁止」は「乗った状態の自転車」のみを指すという解釈解釈 |
まとめ
行政書士試験では、「どの解釈方法が使われているか?」を問う問題も出題されます。
まずは 文理解釈と論理解釈の5種類 をしっかり区別できるようにして、条文の意味を読み解く力をつけましょう!
- 参考:行政法においては一般的に法的安定性の要請が強調され、民法は一般的に具体的妥当性の要請が強調される ↩︎