会社法7-1:「事業の譲渡」とは?意味・手続・株主総会の承認が必要なケースをわかりやすく解説!

📝この記事はこんな人におすすめ
  • 「事業の譲渡」って何かよくわからない……
  • 会社法の「株主総会の特別決議」が必要な場面を整理したい
  • 行政書士試験で出題される「会社の組織再編」の知識をきちんとおさえておきたい
    → そんな方に向けて、事業の譲渡に関するポイントをわかりやすく解説します!
目次

✅ 事業の譲渡とは?【営業譲渡と同じ意味】

事業の譲渡」とは、会社が営んでいる事業を、他の会社などに売却(譲渡)することを言います。
これは商法の基本でも学ぶ「営業譲渡」と同じ概念です。

ここで注意したいのは、「事業を全部譲渡したからといって、その会社が自動的に解散するわけではない」という点です。

また、債権・債務や契約上の立場を引き継がせるには、それぞれの契約相手の同意が必要になります。
この点が、契約上の地位が包括的に移転する会社分割とは異なります。

✅ 事業譲渡に必要な手続き

▶ 株主総会の承認が必要な場合【特別決議が必要】

事業を譲渡・譲受する際、次のような場合には、原則として株主総会の特別決議が必要です(467条1項309条2項11号)。

  • 会社の事業を全部譲渡するとき
  • 会社の事業の重要な一部を譲渡するとき
    (譲渡する資産の帳簿価格が総資産額の5分の1を超える場合)
  • 他社の事業の全部を譲り受けるとき

※ただし、他社の重要な一部の事業を譲り受ける場合には、株主総会の決議は必要ありません。

✅ 株主総会の決議が不要な例外ケース

株主総会の承認を省略できる、例外的なケースもあります。

  • 略式事業譲渡
    事業の譲渡の相手方が特別支配会社(議決権の90%以上を持つ会社)である場合(468条1項)。

  • 簡易事業譲渡
    譲受会社が対価として交付する財産の帳簿価格の合計額が純資産額の5分の1以下468条2項)。

✅ 反対株主の権利:株式買取請求権

株主が、事業譲渡に反対の意思表示をし、さらにその後の承認決議でも反対票を投じた場合、
その株主は、会社に対して自分の株式買取請求権する権利があります(469条1項)。

この制度は、反対株主の利益を守るための仕組みです。

✅ 債権者保護手続は必要ない

会社が事業を譲渡する場合でも、原則として債権者保護手続(公告や催告など)は不要です。
理由は、事業譲渡では債権や債務が自動的に移転するわけではなく、契約ごとに相手方の同意が必要なため、会社の財産全体が大きく変動することがないからです。

✅ 事業の譲渡の効果

事業譲渡が成立すると、基本的には「営業譲渡」と同じ効果が生じます。
そのため、譲渡された側は譲り受けた事業を運営することができ、譲渡した側はその事業から撤退する形になります。

📚まとめ:事業の譲渡は「会社法」でも頻出テーマ!

事業の譲渡は、「株主総会の承認が必要な場合不要な場合」「反対株主の権利」など、行政書士試験でも問われやすいポイントが多くあります。

条文だけだとイメージがつかみにくいですが、「どんなときに株主の決議が必要になるのか」を中心に整理すると理解しやすくなります。
ぜひ、この機会にしっかりとマスターしておきましょう!

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