- 「株主の権利」って何があるの?と疑問に思っている方
- 自益権・共益権の違いがわからない受験生
- 行政書士試験で会社法を得点源にしたい人
- 難しい条文をやさしく整理して理解したい方
株主の権利とは?基本からわかりやすく解説!
株式会社のオーナーである「株主」は、会社に対して様々な権利を持っています。
しかしその権利は一律ではなく、内容や行使条件によって分類されます。
本記事では、株主の権利について、試験に出やすいポイントに絞ってわかりやすく解説していきます。
株主平等の原則とは?
会社は、株主をその「持株数」や「株式の種類」に応じて平等に扱わなければなりません(109条1項)。
これを株株主平等の原則といいます。1
📌 ポイント
この原則に反する内容を、定款・契約・決議などで定めたとしても、株主の承認がない限り無効になります。
株主の権利の分類
株主の権利は、「内容」と「行使条件」によってそれぞれ分類されます。
✨ ① 自益権と共益権(権利の内容による分類)
株主の権利は、その権利の内容に着目して、自益権と共益権に分類されます。
自益権 | 共益権 | |
意味 | 会社から経済的利益を受ける権利 | 会社の経営に参加する権利 |
具体例 | ①剰余金配当請求権(105条1項1号) ②残余財産分配請求権(105条1項2号) ③株式買取請求権(192条など) | ①株主総会における議決権(105条1項3号) ②株主の監督是正権 |
✨ ② 単独株主権と少数株主権(行使条件による分類)
株主の権利は、その権利を行使する条件に着目して、単独株主権と少数株主権に分類されます。
単独株主権 | 少数株主権 | |
意味 | 1株しか有していない株主でも行使できる権利 | 発行済株式総数の一定の割合以上または総株主の議決権の一定割合以上・行って数以上を有する株主のみが行使できる権利 |
具体例 | ①自益権 ②株主総会における議決権 | ①株主総会招集請求権 ②役員解任請求権 など |
株式の共有とその扱い
株式を複数人で共有することもできます。
ただし、共有者がバラバラに権利を行使することはできません。
📌ポイント
共有株式について権利を行使する人を1人決めて会社にその者の氏名・名称を通知しなければ、その株式の権利は行使できません(106条本文)。ただし、会社が認める場合は、個別に権利行使ができることもあります(106条但書)。
株式買取請求権とは? 〜少数派の株主のための重要な救済措置〜
✅ 定義
株式買取請求権とは、会社や株主にとって重大な影響を与える行為に反対した株主が、自分の株式を会社に買い取ってもらうよう請求できる権利です。
これにより、少数派の株主も資本を回収できる機会が与えられます。
✅ 行使できるケース
株式を買い取ることは、会社にとっては本来禁止されている出資の払戻しとなるため、株式買取請求権を行使できる場合は限定されています。
株式買取請求権を行使できる場合としては、以下のケースがあります。234
- 発行する株式全部に譲渡制限の定めを設ける定款変更をする場合(116条1項1号)
- 譲渡制限種類株式・全部取得条項付種類株式とする旨の定款変更をする場合(116条1項2号)
- 株式の併合・株式の分割・株式無償割当て・単元株制度を採用する旨の定款変更等をする場合など(116条1項3号)
- 事業譲渡(469条)、合併・会社分割(785条、797条、806条)、株式交換(785条、797条)、株式移転(806条)などの組織再編行為をする場合
- 単元未満株式を保有する者(192条)
💡 行使の手続き
株式買取請求権5を行使するためには、株主総会の決議に先立ち反対する旨を会社に通知し、かつ、株主総会でも議案に反対の議決権行使をしなければなりません(116条2項1号イ)。
📌 例外:
議決権がない株式(議決権制限株式)を持っている株主は、そもそも株主総会に参加できないので、上記の手続なしで株式買取請求が可能です(116条2項1号ロ)。
✅ まとめ
株主の権利は、大きく「内容」と「行使条件」によって分類され、
とくに行政書士試験では、自益権・共益権、単独株主権・少数株主権、
そして株式買取請求権の制度と手続きが頻出です。
出題されるポイントを意識して、条文とセットで整理しておくと効果的です!
- 参考:非公開会社では、定款の定めにより、剰余金配当請求権・議決権について、持株数に応じてではなく、株主(人)ごとに異なる取扱いをすることが認められている(109条2項) ↩︎
- 参考:議決権制限株式とする旨の定款変更を行う場合には、株式買取請求権を行使することができない。 ↩︎
- 参考:設立時株主は、創立総会における定款変更の決議に反対したとしても、株式買取請求権を行使することはできない。 ↩︎
- 参考:❶~❸の場合の株式買取請求により支払った金額が分配可能額を超えた場合、業務執行者はその超過額について責任を負う(464条1項)。 ↩︎
- 参考:株式の買取りを会社に対して請求した株主であっても、会社の承諾があれば、買取請求を撤回することができる(116条7項)。 ↩︎