民法30-1:「配偶者居住権」とは?相続後も住み慣れた家に住み続けられる仕組みをわかりやすく解説

✅この記事はこんな人におすすめ
  • 配偶者が亡くなった後も、今の家に住み続けたいと考えている方
  • 相続で「家はもらったけど生活費が足りない」とならないようにしたい方
  • 配偶者居住権や短期居住権が行政書士試験にどう出題されるか気になる受験生の方
目次

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、夫や妻が亡くなった後も、残された配偶者が住み慣れた家に住み続けられるようにするための新しい権利制度です。

これまでの相続では、「家を相続すれば現金がもらえず生活が苦しくなる」「現金をもらえば家に住めず引っ越しを余儀なくされる」といったジレンマがありました。

このような問題を解消するため、民法改正で導入されたのが配偶者居住権です。

配偶者居住権は「家そのもの」ではなく、「家に住む権利」なので、評価額が比較的低く抑えられます。これにより、家に住み続けながら、他の財産(預貯金など)も相続しやすくなるのが大きな特徴です。

配偶者居住権の4つの要件

配偶者居住権を取得するには、以下の4つの要件をすべて満たす必要があります(1028条)。

  • 被相続人配偶者であること
  • 被相続人財産に属した建物であること
  • 相続開始の時に居住していたこと
  • 遺産分割または遺贈によって配偶者居住権を取得するものとされたこと

配偶者居住権の効果

要件を満たして配偶者居住権を取得すると、亡くなった配偶者の所有していた建物について、残された配偶者は無償で住み続けることができます1028条1項本文)。
つまり、住む場所を失わずに安心して過ごせるということです。

配偶者短期居住権とは?

一方で、相続の話し合い(遺産分割)が済むまでの間、配偶者が急に家を出ていかなくてはならない…というのは高齢者にとって大きな負担です。

このような事態を避けるために導入されたのが「配偶者短期居住権」です。

これは、遺産分割がまとまるまでの定期間だけ、無償で家に住み続けることができる権利です。

配偶者短期居住権の3つの要件

配偶者短期居住権を得るには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります(1037条)。

  • 被相続人配偶者であること
  • 被相続人財産に属した建物であること
  • 相続開始の時に無償で居住していたこと

配偶者短期居住権の効果

要件を満たすと、以下の期間、配偶者は無償で居住を続けることができます1037条1項本文1号・2号)。

  • 遺産分割がある場合】
     👉 居住建物帰属が確定した日、または相続開始から6カ月経過のいずれか遅い日まで

  • 遺産分割がない場合】
     👉 所有者から「出てほしい」(消滅の申し入れの日)と言われてから6カ月間

短期ではありますが、突然の立ち退きを防ぐことができ、安心して次の生活を準備できるようになります。

📝まとめ

項目配偶者居住権配偶者短期居住権
趣旨長期間住み続けられるように一時的に住み続けられるように
取得方法遺産分割遺贈など要件を満たせば当然に発生
居住可能期間配偶者が生存する限り最大で6カ月程度
使用料無償無償
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