商法2-4:「交互計算契約」とは?意味・仕組みをわかりやすく解説

✅この記事はこんな人におすすめ
  • 行政書士試験に向けて商法を勉強中の方
  • 「交互計算契約」という用語の意味や制度の趣旨を分かりやすく理解したい方
  • 民法の相殺との違いについて理解を深めたい方
目次

交互計算契約とは?

交互計算契約(こうごけいさんけいやく)」とは、商人同士や、商人と商人以外の人継続的に取引をする場合に用いられる特別な契約のことです。

この契約では、一定期間内に発生したすべての債権・債務をまとめて、総額について相殺し、最終的に残った差額だけを支払うという仕組みになっています(529条)。

たとえば、A商店とB商店が定期的に商品を売り買いしているとします。毎回代金を支払っていたら、振込手数料や事務手続きが面倒ですよね。そこで交互計算契約を結んでおけば、月末などの一定期間ごとにお互いの請求額をまとめて相殺し、最終的にどちらかが差額を支払えばよい、という効率的なやり方が可能になります。

sequenceDiagram
autonumber

actor A_商人
actor B_商人OR非商人

A_商人 ->> B_商人OR非商人:5月1日 債権10万円
B_商人OR非商人 ->> A_商人:5月10日 債権15万円
A_商人 ->> B_商人OR非商人:5月1日 債権8万円
B_商人OR非商人 ->> A_商人:5月10日 債権25万円
note over A_商人,B_商人OR非商人: 相殺

B_商人OR非商人 ->> A_商人:5月10日 債権22万円

民法上の「相殺」との違いは?

民法には「相殺」というルールがあります。これは、お互いに債権(請求権)を持っているときに、金額を差し引きして対等額の範囲で債権を消滅させる制度です。たとえば、AがBに10万円、BがAに7万円を請求できる場合、差額の3万円だけをAが支払えばOK、というのが相殺の考え方です。

しかし、相殺は原則として1回ごとに発生した債権・債務に対して行うものです。継続的に売買を繰り返す場合、その都度相殺していたのでは、かえって非効率になります。

そこで、民法における相殺の特則として、一定期間内の債権・債務をまとめて処理できる交互計算契約という制度が設けられています。

交互計算契約のメリット

✅交互計算契約を使うことで、以下のようなメリットがあります。

  • 毎回の取引ごとにお金をやり取りしなくてよい
  • 複数の債権・債務をまとめて精算できる
  • 手数料や事務負担を減らせる
  • お金のやり取りによる紛争やリスクを軽減できる

✅まとめ

交互計算契約とは、継続的な取引関係にある商人同士などが、一定期間内に発生した債権・債務をまとめて相殺し、最終的な残額だけを支払う契約です。
これは、通常の「相殺」とは異なり、取引ごとにではなく一定期間ごとに精算することで、事務処理の負担や金銭の授受によるリスクを軽減できるというメリットがあります。

行政書士試験では、「相殺との違い」などが問われる可能性があるため、条文とあわせて、契約の目的や具体的な利用場面をイメージしておくことが重要です。

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