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事案
自衛隊員が駐屯地の武器車両整備工場で車両を整備していたところ、同僚の自衛隊職員が運転する自動車に轢かれて即死したため、その親が国に対して損害賠償を請求する訴訟を提起した。
結論

供託金取戻請求権の消滅時効期間(客観的期間)は、民法166条1項2号により10年となる。
判旨
- ①安全配慮義務の内容
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安全配慮義務は、ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、当該法律関係の付随義務として当事者の一方または双方が相手方に対して信義則上負う義務として一般的に認められるべきものであって、国と公務員との間においても別異に解すべき論拠はない。
- ②安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効
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国が義務者であっても、被害者に損害を賠償すべき関係は、公平の理念に基づき被害者に生じた損害の公正な填補を目的とする点において、私人相互間における損害賠償の関係とその目的性質を異にするものではないから、国に対する損害賠償請求権の消滅時効期間(客観的期間)は、会計法30条所定の5年と解すべきではなく、民法167条により20年と解すべきである。