目次
事案
伊方発電所原子炉設置許可申請に対し、内閣総理大臣がこれを許可したため、周辺住民が、原子炉設置許可処分は違法であるとして、取消訴訟を提起した。
この訴訟において、原子炉設置許可処分につき行政裁量が認められるかが争われた。
結論

行政裁量は認められる
判旨
原子炉施設の安全性に関する判断の適否が争われる原子炉設置許可処分の取消訴訟における裁判所の審理・判断は、原子力委員会1または原子炉安全専門審査会2の専門技術的な調査審議および判断を基にしてされた被告行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであって、現在の科学技術水準に照らし、当該調査審議において用いられた具体的審査基準に不合理な点があり、あるいは当該原子炉施設がその具体的審査基準に適合するとした原子力委員会または原子炉安全専門審査会の調査審議および判断の過程に看過し難い過誤・欠落があり、被告行政庁の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、被告行政庁の判断に不合理な点があるものとして、その判断に基づく原子炉設置許可処分は違法と解すべきである。