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事案
「墓地の管理者は、埋葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない」と定める墓地、埋葬等に関する法律13条について、他の宗教団体の信者であることのみを理由とする埋葬許否は「正当の理由」によるものとは認められないと解釈した通知がなされたため、この解釈が誤っていると考えた寺院が、この通達の取消訴訟を提起した。
結論

訴え却下
判旨
- 通達違反の処分の効力
通達は、原則として法規の性質を有するものではなく、行政組織内部における命令にすぎないため、通達に違反した処分がなされた場合でも、その処分は有効である。1 - 通達の裁判所に対する効力
裁判所は通達に拘束されることのないことはもちろんで、裁判所は、法令の解釈適用にあたっては、通達に示された法令の解釈とは異なる独自の解釈をすることができ、通達に定める取扱いが法の趣旨に反するときは独自にその違法を判定することができる。 - 通達に対する取消訴訟
取消訴訟を提起することができるのは、国民の権利義務・法律上の地位に直接具体的に法律上の影響を及ぼすような行政処分等であるところ、通達はこれに当たらないことから、通達に対する取消訴訟は認められない。
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- 参考:公務員は通達に服従すべき義務を負っているから、通達に違反した処分がなされた場合、職務上の義務違反となる ↩︎