目次
後見
後見の開始原因
後見は、①未成年者に対して親権を行う者がいないとき、または親権を行う者が管理権を有しないとき、②後見開始の審判があったときに開始される(838条)。そして、①の場合を未成年後見、②の場合を成年後見という。
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後見人の選任
未成年後見人と成年後見人の選任についてまとめると、以下のようになります。
未成年後見人 | 成年後見人 | |
選任 | 後見人の遺言により指定できる(839条) 家庭裁判所が利害関係人等の請求により選任する(840条1項) | 遺言による指定できない 家庭裁判所が職権により選任する(843条1項) |
追加 | 後見人の利害関係人等の請求または職権により可能(840条2項、843条3項) | |
法人の選任 | 可能(840条3項、843条4項) ※株式会社等の営利法人も可 |
後見人の辞任
後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、辞任することができる(844条)。
後見人の資格
- 未成年者
- 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人・補佐人・補助人
- 破産者
- 被後見人に対して訴訟をし、またはした者ならびにその配偶者および直系血族
- 行方の知れない者
は、後見人になることができない(847条)。
利益相反行為
利益相反行為については、後見人は、後見監督人がある場合を除き、被後見人のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない(860条、826条)1
注意義務
後見人は、善良な管理者の注意をもって、後見の事務を処理しなければならない(869条、644条)
- 重要判例:共同相続人の1人が他の共同相続人を後見している場合に、後見人自らが相続放棄をした後に被後見人全員を代理してする相続放棄は、利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24) ↩︎