民法26-2:相続資格の喪失

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相続資格の喪失

相続欠格

以下に掲げる者は、相続人となることができない(891条

  • 故意に被相続人または相続について先順位もしくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者

  • 被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(その者に是非と弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときを除く)

  • 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取消し、または変更することを妨げた者

  • 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者1

相続人の廃除

遺留分を有する推定相続人2が、被相続人に対して虐待をし、もしくはこれに重大な侮辱を加えたとき、または推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる(892条)。

相続欠格と相続人の廃除をまとめると、以下のとおり。

相続欠格相続人の廃除
対象すべての推定相続人遺留分を有する推定相続人(892条)
効力発生欠格事由があれば法律上当然に発生被相続人からの排除請求による家庭裁判所の審判の確定により発生
取消し×不可可能(894条)
代襲原因なる(887条2項本文)
効力の及ぶ範囲当該被相続人に対する相続権のみ
  1. 重要判例:相続人が相続に関する被相続人の遺言書を破棄または隠匿した場合において、相続人の当該行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは、当該相続人は、相続欠格者には当たらない(最判平9.1.28) ↩︎
  2. 推定相続人:相続が開始した場合に相続人となるべき者のこと ↩︎
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