民法27-1:相続の効力とは?被相続人の権利義務はどうなる?一身専属と共同相続の基本をやさしく解説!

この記事はこんな人におすすめ!
  • 相続の基本的なルールをわかりやすく理解したい方
  • 一身専属の権利義務とは何か、判例とあわせて整理したい方
  • 行政書士試験で「相続の効力」に関する出題に備えたい方
目次

相続の効力とは?~死亡した人の財産や義務はどうなるの?~

人が亡くなると、その人(被相続人)が持っていた財産や義務はどうなるのでしょうか?
民法896条はこう定めています。

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは除く。

簡単にいうと、原則として亡くなった人の「財産も借金も」すべて相続人に引き継がれます。ただし、「その人だけに特有の権利や義務(=一身専属のもの)」は、相続の対象になりません。896条但書)。1

一身専属とは?相続されるかどうかのポイント

◆ 相続されないもの(=一身専属のもの)

  • 死亡保険金(最判昭40.2.2)
  • 身元保証債務(大判昭18.9.10)
  • 信用保証債務(最判昭37.11.9)

◆ 相続されないもの(=一身専属のもの)

※上記のように、相続されるかどうかの判断は「個人的な信用や人格に強く結びついているかどうか」がカギになります。

共同相続の場合の効力とは?

相続人複数いる場合はどうなるのでしょうか?民法は以下のように定めています。

  • 相続財産は、相続人全員の共有に属する898条1項
  • 各相続人は、その相続分に応じて、被相続人の権利義務を引き継ぐ899条)。2

つまり、遺産は「共有財産」となり、相続人それぞれの法定相続分や遺言によって決まる相続分に応じて、権利・義務が分割されるのです。

まとめ:相続の効力はここがポイント!

  • 相続開始と同時に、被相続人の財産・債務は相続人に引き継がれる
  • ただし「一身専属のもの(死亡保険金や身元保証など)」は相続されない
  • 複数の相続人がいる場合は、相続財産は共有とされ、相続分に応じて承継される

行政書士試験では、条文理解だけでなく、判例に基づいた実務的な判断が問われます。しっかり条文と判例をセットで覚えておきましょう!

  1. 参考:系譜、祭員および墳墓の所有権は、被相続人の指定に従って祖先の祭祀(さいし)を主宰すべき者があるときを除き、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する(897条1項↩︎
  2. 重要判例:共同相続された預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる(最大決平28.12.19)。 ↩︎
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