行政法24:地方公共団体の事務の種類

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地方公共団体の事務の種類

地方公共団体が処理する事務には、自治事務法定受託事務の2種類がある。

自治事務

自治事務とは、地方公共団体が本来果たすべき事務であって、法定受託事務以外のもの(2条8項)。1

自治事務については、特にその地方公共団体の自己責任を認めるとともに自主性を尊重すべきであることから、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならないとされている(2条13項)。

自治事務の概要

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
地方公共団体の事務 --> 自治事務
地方公共団体の事務 --> 法定受託事務
法定受託事務 --> 第1号法定受託事務
法定受託事務 --> 第2号法定受託事務

法定受託事務

法定受託事務とは、国や都道府県が本来果たすべき役割に関する事務であって、法令により他の地方公共団体に委ねられたもののこと(2条9項)。

法定受託事務には、国が行うべき事務を都道府県・市町村・特別区が処理する第1号法定受託事務と、都道府県が行うべき事務を市町村・特別区が処理する第2号法定受託事務がある。2

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config:
  theme: neutral
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flowchart LR
 subgraph 都道府県_市町村_特別区
  都道府県
  市町村
  特別区
 end
国 -->|第1号| 都道府県_市町村_特別区
都道府県 -->|第2号| 市町村
都道府県 -->|第2号| 特別区

なお、自治事務と法定受託事務の違いは、次の通り。

自治事務法定受託事務
議会の議決事項自由に追加することができる国の安全に関する事その他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除き、追加することができる
議会の検査権・
調査権・
監査請求権
労働委員会・収用委員会の権限に属する事務で政令で定めるものを除き、行使することができる国の安全を害するおそれがあることその他の事由により対象とすることが適当でないものとして政令で定めるものを除き、行使することができる
監査委員の監査
国の代執行による関与不可可能
国の行政機関に対する審査請求不可(例外あり)可能

事務処理の基本原則

地方公共団体の事務処理については、以下のような原則が適用される。

  • 法令の解釈指針
    地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえてこれを解釈し、および、運用するようにしなければならない(2条12項)。

  • 効率性の原則
    地方公共団体は、その事務を処理するにあたっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最小の経費で最大の効果をあげるようにしなければならない(2条14項)。

  • 合理化・適正化の原則
    地方公共団体は、常にその組織および運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めて、その規模の適正化を図らなければならない(2条15項)。

  • 法令適合の原則
    地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならず、市町村および特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない(2条16項)。
    ※法令適合の原則に違反した行為は、無効とされる(2条17項)。
  1. 具体例:飲食店営業の許可、病院・薬局の開設許可、都市計画の決定など ↩︎
  2. 具体例:第1号法定受託事務の例として、国政選挙・戸籍事務・パスポートの交付など。第2号法定受託事務の例として、都道府県知事や議会の議員の解職投票の事務など。 ↩︎
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