行政法28-6:公の施設

目次

公の施設とは?

公の施設とは、地方公共団体が住民の福祉を増進する目的で住民に利用させるための施設(244条1項)。1

住民は公の施設の利用権をもっているので、地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならず(244条2項)、また、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取り扱いをしてはならない(244条3項)。2

設置・管理等

設置・管理

公の施設の設置・管理に関する事項は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、条例で定めなければならない(244条の2第1項)。3

廃止・独占的利用

条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものを廃止したり、条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならない(244条の2第2項)。

指定管理者

公の施設の設置の目的を効果的に達成するために必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、指定管理者に公の施設の管理を行わせることができる(244条の2第3項)。4

そして、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準および業務の範囲その他必要な事項は、条例で定めなければならない(244条の2第4項)。5

普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない(244条の2第6項)。

なお、普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者に、その管理する公の施設の利用に係る料金をその者の収入として収受させることができる(244条の2第8項)。

区域外設置

公の施設は、関係地方公共団体と協議すれば、その地方公共団体の区域外に設置することもできる(244条の3第1項)。6

この協議については、関係地方公共団体の議会の議決を経なければならない(244条の3第3項)。

審査請求

普通地方公共団体の長以外の機関指定管理者を含む)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合でも、当該普通地方公共団体の長に対してするものとされている(244条の4第1項)。

  1. 具体例:市民会館や図書館など ↩︎
  2. 重要判例:一定の地方税を負担しているような「住民に準ずる地位にある者」には、住民と同様に、不当な差別的取り扱いの禁止を定めた244条3項の規律が及ぶ(最判平18.7.14) ↩︎
  3. 具体例:使用料の額や、住民による使用申込・使用承諾の制度など ↩︎
  4. 参考:指定管理者は、団体でなければならない(ただし、法人である必要はない) ↩︎
  5. 参考:指定管理者の指定の手続は条例によって定めなければならないが、指定それ自体は必ずしも条例によって定める必要はない。 ↩︎
  6. 具体例:リゾート地に置かれる県民の保養施設など ↩︎
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