行政法28-5:住民訴訟とは?4つの類型・提起要件・出訴期間まで徹底解説!

📝この記事はこんな人におすすめ
  • 行政書士試験に向けて「住民訴訟」のポイントを整理したい人
  • 地方自治法の条文だけでは理解しにくいと感じている人
  • 「住民監査請求」との関係を明確にしたい人
目次

🔍住民訴訟とは?簡単に言うと…

地方公共団体のお金の使い方に違法な点があると感じた住民は、まず「住民監査請求」を通じて監査委員にチェックを求めることができます。しかし、その結果に納得できない場合、今度は裁判所に訴えることができます。この裁判手続きが住民訴訟です(242条の2第1項)。

🎯住民訴訟の対象になるのは?

住民訴訟の対象は、違法な財務会計行為違法な行為をしないこと(怠る事実)に限られます。
住民監査請求では「不当な行為」も含まれますが、住民訴訟では
あくまで違法性の有無
がポイントになります。

📚住民訴訟の4つの類型とは?

住民訴訟は、訴えの内容によって以下の4つの類型に分けられます。

解説被告
1号請求地方公共団体の執行機関・職員が違法な財務会計上の行為をするおそれがある場合に、事前にその差止めを請求する訴訟12違法な財務会計上の行為をしようとしている執行機関・職員
2号請求違法な財務会計上の行為の取消しまたは無効確認を求める訴訟違法な財務会計上の行為をした行政庁の帰属する地方公共団体
3号請求違法に公金の賦課徴収または財産の管理を怠る事実がある場合に、その違法を確認することを求める訴訟職務を怠った執行機関・職員
4号請求執行機関等に対し、長・職員・当該行為または怠る事実に係る相手方への損害賠償請求または不当利得返還請求をすることを求める訴訟3請求を行うべき執行機関等

👤住民訴訟の原告になれるのは誰?(原告適格)

住民訴訟を起こすには、あらかじめ住民監査請求を行っている必要があります242条の2第1項)。
この制度を「監査請求前置主義」といいます。45つまり、いきなり裁判はできず、まずは監査委員に申し立てるのがルールです。

🏛どの裁判所に訴えるの?(管轄)

住民訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所に提起します(242条の2第5項)。

⏰住民訴訟の出訴期間(期限)はいつまで?

以下のように、状況に応じて「30日以内」が基本になります(242条の2第2項)。

  • 監査の結果・勧告に不服がある場合
    👉監査の結果・勧告の内容の通知があった日から30日以内

  • 議会・長などの措置に不服がある場合
    👉その措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内

  • 監査委員が監査・勧告を監査請求があった日から60日以内に行わない場合
    👉60日間が経過した日から30日以内

  • 勧告を受けた議会・長等が必要な措置を講じない場合
    👉勧告に示された期間を経過した日から30日以内

✅まとめ:住民訴訟は「違法な財務行為」に対する住民の最後の手段!

住民訴訟は、地方公共団体の財務の健全性を守るために住民が利用できる重要な制度です。試験では、4つの類型や原告要件、出訴期間がよく問われるため、確実に押さえておきましょう。

  1. 参考:差止め請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命・身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない(242条の2第6項)。 ↩︎
  2. 参考:1号請求において、執行停止の制度は認められていない↩︎
  3. 重要判例:住民訴訟の対象とされた普通地方公共団体の不当利得返還請求権が裁判で確定しても、議会は、当該請求権に関する権利放棄をすることができる(最判平24.4.20)。 ↩︎
  4. 重要判例:監査委員が適法な住民監査請求を不適法であると却下した場合、当該請求をした住民は、適法な住民監査請求を経たものとして、直ちに住民訴訟を提起することができる(最判平10.12.18) ↩︎
  5. 参考:住民訴訟がすでに係属しているときは、他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができない(242条の2第4項)。 ↩︎
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