営業譲渡とは?
営業譲渡とは、
①一定の営業目的により組織化され有機的一体として機能する財産の譲渡であって、
②譲受人が営業活動を承継し、
③譲渡人が法律上当然に競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)1を負うこと
となるもののこと(最大判昭40.9.22)。
「有機的一体として機能する財産」とは、得意先関係やノウハウも含めて譲渡されるという意味で、単なる財産の譲渡だけではない。
譲渡人の競業避止義務
譲渡人が同種の営業を再開できるとすると、得意先関係やノウハウを譲渡した意味がなくなってしまうことから、譲渡人に競業避止義務が課せられている。
■競業避止義務の詳細
- ①原則
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譲渡人は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市区町村の区域内およびこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から20年間は、同一の営業を行ってはならない(16条1項)。
- ②特約がある場合
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譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から30年の期間内に限り、その効力を有する(16条2項)。
- ③不正の競争の目的がある場合
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譲渡人は、父性の競争の目的をもって同一の営業を行ってはならない(16条3項)。これは、地域・期間に関係なく禁止される。
譲受人の責任
商号の続用ありの場合
譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合、譲受人は、原則として、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う(17条1項)。2
もっとも、譲受後、違いなく、譲受人がその本店の所在地において譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨の登記をした場合や、譲受人および譲渡人から第三者に対してその旨の通知をた場合には、責任を負わない(17条2項)。
なお、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する(17条4項)。
商号の続用なしの場合
譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用しない場合、譲受人は、原則として、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。
もっとも、譲渡人の事業によって生じた債務を引き受ける旨の広告をしたときは、譲受人は、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う(18条1項)。3
詐害営業譲渡の場合
譲渡人が譲受人に承継されない債務の債権者(残存債権者)を害することを知って営業を譲渡した場合には、残存債権者は、その譲受人に対して、承継した財産の価額を限度として、当該債務の履行を請求することができる(18条の2第1項)。