🧭この記事はこんな人におすすめ!
- 商法の「商業使用人」に関する出題ポイントを押さえたい行政書士試験の受験生
- 「支配人」「表見支配人」などの違いがよくわからない方
- 商業使用人の分類や権限について、試験対策用にシンプルに理解したい方
目次
📝商業使用人とは?
商業使用人とは、ある商人に雇われ(雇用契約)て、その商人の営業を手伝う人のことです。つまり、商人の「右腕」として働く従業員のような立場にあり、その業務内容や権限の大きさに応じて、次の3つに分類されます。
権限の広い順に
- 支配人(しはいにん)
- ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人
- 店舗の使用人(物品販売などを行う者)
--- config: theme: neutral --- flowchart LR 商業使用人 --> A["支配人<br>権限:広い<br>例:支店長"] 商業使用人 --> B["ある種類または特定の事項の<br>委任を受けた使用人<br>権限:中間<br>例:部長・課長"] 商業使用人 --> C["物品販売等を目的とする<br>店舗の使用人<br>権限:狭い<br>例:店員など"]
✅支配人とは?
支配人とは、商人の営業所で営業の主任者として正式に選ばれた人のことです。つまり、営業所の「現場責任者」のような存在です。
📌支配人の権限(商法21条)
支配人には、以下のような強力な権限が与えられています。
- 包括的代理権
商人に代わって、その営業に関する全ての裁判上・裁判外の行為ができます。(21条1項)。
※ただし、商人が支配人の代理権に制限を加えていても、善意の第三者に対抗できません(21条3項)。 - 使用人の選任・解任権
他の使用人を雇ったり辞めさせたりすることも可能です(21条2項)。
📌支配人の義務(商法23条)
支配人には以下のような義務があります。
- 善管注意義務(民法644条)、報告義務(民法645条)等の一般的義務を負う。
- 競業避止義務、精力分散防止義務の禁止(23条1項)。
⇒ 商人の許可なしに以下のような行為をしてはいけません。- 自分で営業を始めること
- 商人と同じ業種の取引を自分や他人のために行うこと
- 他の会社・外国会社などの使用人になること
- 他の会社の取締役や業務執行社員になること
✅表見支配人とは?(商法22条)
表見支配人とは、「この人が支配人ですよ」と営業所で示されている人のことです。たとえば、看板に名前が載っていたり、名刺を配っていたりする場合です。表見支配人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされます。
- 表見支配人は、実際に支配人でなくても、相手方が「この人は営業の責任者だ」と信じて取引した場合には、その人に裁判外の行為について代理権があるとみなされます。
※ただし、相手方がその人に権限がないことを知っていた(悪意)場合はこの限りではありません。
✅ある種類・特定の事項の委任を受けた使用人(商法25条)
これは、商人から「この業務を任せるよ」と特定の種類の仕事について任された使用人のことです。
✅店舗の使用人(商法26条)
店舗で物を売るなどの仕事をしている使用人も、ある程度の権限があります。
- 通常の業務に関連する取引(例:レジでの販売)は、権限があると推定されます。
- ただし、相手方が「この人にはそんな権限はない」と知っていた場合(悪意)は、この限りではありません(26条)。
🎯まとめ:商業使用人のポイント整理
区分 | 権限 | 備考 |
---|---|---|
支配人 | 包括的代理権、使用人の管理権限など | 登記も可能(任意) |
表見支配人 | 外見上、営業主任とされる人の代理権 | 実際の代理権の有無にかかわらず保護されることあり |
委任使用人 | 特定の事項についての代理権 | 裁判外の行為に限る |
店舗の使用人 | 通常業務の取引に関して代理権を推定 | 相手が悪意なら権限なしとされる |