商法1-5:「商業使用人」とは?支配人・表見支配人・店舗使用人の違いと権限をわかりやすく解説

🧭この記事はこんな人におすすめ!
  • 商法の「商業使用人」に関する出題ポイントを押さえたい行政書士試験の受験生
  • 「支配人」「表見支配人」などの違いがよくわからない方
  • 商業使用人の分類や権限について、試験対策用にシンプルに理解したい方
目次

📝商業使用人とは?

商業使用人とは、ある商人に雇われ(雇用契約)て、その商人の営業を手伝う人のことです。つまり、商人の「右腕」として働く従業員のような立場にあり、その業務内容や権限の大きさに応じて、次の3つに分類されます。

権限の広い順に

  1. 支配人(しはいにん)
  2. ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人
  3. 店舗の使用人(物品販売などを行う者)
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  theme: neutral
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flowchart LR
商業使用人 --> A["支配人<br>権限:広い<br>例:支店長"]
商業使用人 --> B["ある種類または特定の事項の<br>委任を受けた使用人<br>権限:中間<br>例:部長・課長"]
商業使用人 --> C["物品販売等を目的とする<br>店舗の使用人<br>権限:狭い<br>例:店員など"]

✅支配人とは?

支配人とは、商人の営業所で営業の主任者として正式に選ばれた人のことです。つまり、営業所の「現場責任者」のような存在です。

📌支配人の権限(商法21条)

支配人には、以下のような強力な権限が与えられています。

  • 包括的代理権
    商人に代わって、その営業に関する全ての裁判上・裁判外の行為ができます。(21条1項)。
    ※ただし、商人が支配人の代理権に制限を加えていても、善意の第三者に対抗できません(21条3項)。

  • 使用人の選任・解任権
    他の使用人を雇ったり辞めさせたりすることも可能です(21条2項)。

📌支配人の義務(商法23条)

支配人には以下のような義務があります。

  • 善管注意義務民法644条)、報告義務民法645条)等の一般的義務を負う。
  • 競業避止義務精力分散防止義務の禁止(23条1項)。
     ⇒ 商人の許可なしに以下のような行為をしてはいけません。
    1. 自分で営業を始めること
    2. 商人と同じ業種の取引を自分や他人のために行うこと
    3. 他の会社・外国会社などの使用人になること
    4. 他の会社の取締役や業務執行社員になること

✅表見支配人とは?(商法22条)

表見支配人とは、「この人が支配人ですよ」と営業所で示されている人のことです。たとえば、看板に名前が載っていたり、名刺を配っていたりする場合です。表見支配人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされます。

  • 表見支配人は、実際に支配人でなくても、相手方が「この人は営業の責任者だ」と信じて取引した場合には、その人に裁判外の行為について代理権があるとみなされます

 ※ただし、相手方がその人に権限がないことを知っていた(悪意)場合はこの限りではありません。

✅ある種類・特定の事項の委任を受けた使用人(商法25条)

これは、商人から「この業務を任せるよ」と特定の種類の仕事について任された使用人のことです。

  • 委任された範囲で、裁判外の行為(契約など)をする権限があります(25条1項)。
  • その権限に制限があっても、第三者がそれを知らなかった場合(善意)、商人はその行為を否定できません(25条2項)。

✅店舗の使用人(商法26条)

店舗で物を売るなどの仕事をしている使用人も、ある程度の権限があります。

  • 通常の業務に関連する取引(例:レジでの販売)は、権限があると推定されます
  • ただし、相手方が「この人にはそんな権限はない」と知っていた場合(悪意)は、この限りではありません(26条)。

🎯まとめ:商業使用人のポイント整理

区分権限備考
支配人包括的代理権、使用人の管理権限など登記も可能(任意)
表見支配人外見上、営業主任とされる人の代理権実際の代理権の有無にかかわらず保護されることあり
委任使用人特定の事項についての代理権裁判外の行為に限る
店舗の使用人通常業務の取引に関して代理権を推定相手が悪意なら権限なしとされる
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