商法1-5:商業使用人

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商業使用人とは?

商業使用人とは、雇用契約によって特定の商人に従属し、その業務を補助する人のこと。

商業使用人は、その権限の広い順に、①支配人、②ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人、③物品販売等を目的とする店舗の使用人に分類される。

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  theme: neutral
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flowchart LR
商業使用人 --> A["支配人<br>権限:広い<br>例:支店長"]
商業使用人 --> B["ある種類または特定の事項の<br>委任を受けた使用人<br>権限:中間<br>例:部長・課長"]
商業使用人 --> C["物品販売等を目的とする<br>店舗の使用人<br>権限:狭い<br>例:店員など"]

支配人

支配人とは、承認の営業所の営業の主任者として選任された者。

支配人の権限

支配人は、次のような権限を持つ。

  • 包括的代理権
    支配人は、承認に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する(21条1項)。
    ※支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない(21条3項)。

  • 使用人の選任・解任権
    支配人は、他の使用人を選任し、または解任することができる(21条2項)。

支配人の義務

支配人は、雇用・委任の規定に基づき、善管注意義務民法644条)、報告義務(民法645条)等の一般的義務を負う。

また、支配人は、商人の許可を受けなければ、以下の行為をすることができない(23条1項)。これを競業避止義務精力分散防止義務という。

  • 自ら営業を行うこと
  • 自己または第三者のために商人の営業の部類に属する取引をすること
  • 他の商人・会社・外国会社1の使用人となること
  • 会社の取締役・執行役・業務執行社員となること

表見支配人

表見支配人とは、商人の営業の主任者であることを示す名称を付した使用人のこと。

表見支配人は、当該営業所の営業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなされるが、相手方が悪意であったときは、この限りではない。

ある種類・特定事項の委任を受けた使用人

商人の営業に関するある種類または特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項について、一切の裁判外の行為をする権限を持つ(25条1項)。そして、この代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない(25条2項)。

物品販売等を目的とする店舗の使用人

物品の販売等を目的とする店舗の使用人は、相手方が悪意の場合を除き、その店舗にある物品の販売等をする権限を有するものとみなされる(26条)。

  1. 外国会社:外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のものまたは会社に類似するもののこと(会社法2条2号)。 ↩︎
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