商法2-8:「場屋営業」とは?旅館・飲食店・銭湯などの責任を分かりやすく解説!

この記事はこんな人におすすめ
  • 「場屋営業」という言葉の意味やイメージがつかめない方
  • 商法で出題される営業類型の一つとして理解しておきたい方
  • 携帯品の盗難・損傷などに関する営業者の責任について学びたい方
  • 行政書士試験の商法対策をしている方
目次

場屋営業(じょうおくえいぎょう)とは?

場屋営業とは、たとえば旅館や飲食店、銭湯などのように、一般の人が集まって利用できる設備を整え、それを利用させる営業のことです。

身近な例:

  • 旅館・ホテル
  • 飲食店
  • カラオケボックス
  • 銭湯・温泉施設
  • コインランドリー

これらはすべて、施設という“場”をお客に提供して利用させる点が共通しています。

商事寄託と善管注意義務

商法では、商人が営業の一環として物を預かること(これを商事寄託といいます)について、特別なルールがあります。

民法上の寄託では報酬をもらうかどうかで責任が異なりますが、商法では違います。

商人が営業の範囲内で物を預かった場合、報酬を受けない場合でも「善良な管理者としての注意義務」(善管注意義務)を負うとされています(595条)。

場屋営業者の責任は重い!―596条のポイント

場屋営業では、多数の客が出入りし、持ち物を持ち込むため、盗難や紛失のリスクが高くなります。
そのため、法律上、場屋営業者には通常よりも強化された責任が課せられています。

1. 預かった物の損害には「不可抗力」の証明が必要

お客から預かった物(寄託)が壊れたりなくなったりした場合、営業者は不可抗力(どうしても避けられなかった事情)によるものであることを証明しない限り、損害賠償責任を免れません(596条1項)。

2. 預けていなくても注意義務を怠れば損害賠償の責任あり

お客が自分で持ち込んだ物(たとえば飲食店のテーブルの上のカバン)でも、場屋営業者が注意を怠ったことによって滅失・損傷したときは、損害賠償責任を負います596条2項)。

3. 「責任を負いません」と掲示しても免れない!

たとえば「貴重品の紛失について当店は責任を負いません」と表示していても、営業者の責任は免除されません596条3項)。

高価なものの損害は特別ルールに注意!(597条)

ただし、現金・宝石・有価証券などの高価な物については別のルールがあります。

客がその種類と価額を営業者に伝えて正式に寄託した場合を除いては、場屋営業者はその滅失や損傷について責任を負いません(597条)。

まとめ:場屋営業とその責任は出題ポイント!

場屋営業は、行政書士試験の商法分野で出題されやすいテーマです。
「施設を提供して利用させる営業」には、特に預かった物や持ち込まれた物に対する法的責任が問われる場面が多く、条文の理解が重要になります。

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