会社法4-8:代表取締役

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代表取締役の選定

代表取締役とは、会社の業務を執行し、対外的に会社を代表する取締役のこと。

取締役会設置会社の場合、代表取締役は、取締役会の決議で取締役の中から選定しなければならない(362条2項3号・3項)。一方、取締役会非設置会社では、定款定款の定めに基づく取締役の互選または株主総会の決議によって取締役の中から選定することができる(349条3項)。

代表取締役の員数

代表取締役の人数に制限はなく、1人でも複数でも構わない。

代表取締役の終任

代表取締役は、取締役であることが前提なので、取締役の地位を失った場合には、当然に代表取締役の地位も失う。ただし、代表取締役の地位を失ったとしても、当然に取締役の地位を失うわけではない。

代表取締役の権限

代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする包括的代表権を有し(349条4項)、これを定款等で制限しても、善意の第三者に対抗することができない(349条5項)。1

※参考:代表取締役は、取締役会決議に基づいて、代表権の一部を他の取締役に移譲することはできない。

表見代表取締役とは?

表見代表取締役とは、代表権がないにもかかわらず、社長・副社長その他会社の代表権を有すると認めるべき名称が付された取締役のこと。そして、表見代表取締役が善意の第三者との間でした行為については、会社が責任を負うことになる(354条)。

表見代表取締役の要件

表見代表取締役制度が適用される要件は、次の3つ(354条)。

  • 会社を代表する権限を有するものと認められる名称があること
    例:社長・副社長・頭取・総裁といった名称や肩書などをもっている場合
  • 会社がその名称を付したこと
    例:会社が代表者でない者に代表者のような名称を認めた場合や、黙認していた場合
  • 相手方が善意であること
    判例:条文上は「善意」としか規定されていないが、善意無重過失であることが要求される(最判昭52.10.14)
  1. 判例:代表取締役が代表権を濫用した場合、民法107条により、相手方が代表取締役の意図につき悪意または有過失のときは、会社は当該代表取締役の代表行為の効力を否定することができる(最判昭38.9.5)。 ↩︎
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