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住民監査請求とは?
住民は、直接請求の一種である事務の監査請求をすることにより、地方公共団体の一般事務や財務会計の処理が適正に行われているかをチェックしてもらうことができる。もっとも、事務監査請求をするためには、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の署名を集めなければならず、ややハードルが高くなっている。
そこで、地方自治法は、特に不正が行われやすい財務会計上の行為については、住民1人でも監査請求をすることができるとしている(242条1項)。これを住民監査請求という。12
事務監査請求と住民監査請求の違いは次の通りです。
事務監査請求 | 住民監査請求 | |
対象 | 地方公共団体の事務全般 | 地方公共団体の財務会計上の行為または怠る事実に限られる |
必要署名数 | 選挙権を有する者の総数の50分の1以上 | 不要(1人で可) |
結果に不満があるとき | 訴訟の提起はできない | 住民訴訟を提起できる |
住民監査請求の対象
住民監査請求の対象は、違法または不法な財務会計上の行為または怠る事実。
住民監査請求の内容
住民監査請求によって請求できる内容は、当該行為の防止・是正、当該怠る事実を改めること、当該行為または怠る事実によって地方公共団体の被った損害を補填するために必要な措置を講ずべきこと(242条1項)。
期間制限
違法または不当な財務会計上の行為のあった日または終わった日から1年を経過した後は、正当な理由がない限り、住民監査請求をすることはできない(242条2項)。
これに対して、怠る事実に係る住民監査請求については、期間制限はない(最判平14.7.2)。