この記事はこんな人におすすめ
- 行政書士試験で地方自治法を学んでいる受験生
- 「直接請求って何?」と制度の概要を知りたい方
- 地方自治における住民参加の仕組みに興味がある方
- 条例の制定や議会解散などの請求手続に関心がある方
目次
住民が政治に直接参加できる「直接請求制度」とは?
私たちが暮らす市区町村や都道府県の政治は、時に国の政治以上に私たちの日常生活に影響を与えます。そのため、地方自治法では、住民が地方政治に直接関わり、監視・改善するための仕組みとして「直接請求1」を認めています。
これは、住民自らが一定の条件を満たす署名を集めることで、条例の制定や改廃、事務監査、議会の解散、長や議員の解職などを直接請求できる制度です。
直接請求の4つの種類
直接請求には、次の4つのタイプがあります。
- 条例の制定改廃請求2
例:新しい条例を作りたい/既存の条例を変更・廃止したい - 事務監査請求
例:地方公共団体の事務執行が適正かどうか調べてほしい - 議会の解散請求
例:議会が住民の意思に反しているため、一度解散させたい - 議員・長・主要公務員の解職請求(リコール)
例:長や議員の解職(リコール)を求めたい
直接請求のやり方と必要な署名数
直接請求は、その地方公共団体の有権者の一定割合の署名を集めて行います。署名数や請求の相手方(請求先)は請求内容によって異なります。例えば、条例の制定・改廃を請求する場合は、議会に対して請求を行います。
※具体的な署名数や請求先は、次の通りです。
(選挙権を有する者) | 必要署名数請求先 | 請求後の措置 | |
改廃請求 (74条)34 | 条例の制定50分の1以上 | 長 | 請求を受理した日から20日以内に議会を招集 意見を付けて議会に付議 結果を代表者に通知&公表 |
(75条) | 事務監査請求50分の1以上 | 監査委員 | 監査の結果に関する報告を決定 代表者に送付&公表 法律に基づく委員会・委員に提出 |
(76条) | 議会の解散請求原則:3分の1以上 | 選挙管理委員会 | 解散の投票で過半数の同意→解散 (78条) |
解職請求 (80条・81条) | 議員・長の原則:3分の1以上 | 選挙管理委員会 | 解散の投票で過半数の同意→解散 (83条) |
解職請求 (86条)5 | 主要公務員の原則:3分の1以上 | 長 | 議員の2/3以上出席→3/4以上の同意→失職 (87条1項) |
まとめ:直接請求は住民の「声」を政治に届ける重要な手段
「直接請求」は、私たち住民が地方自治体の政治に直接関与できる、非常に重要な制度です。
条例を新たに作ったり、議会を解散させたりといった強い権限を、有権者の手で行使できるこの制度は、まさに民主主義の原点ともいえるでしょう。