行政法28-6:「公の施設」とは?住民の利用権・指定管理者制度までわかりやすく解説

🧭この記事はこんな人におすすめ
  • 「地方自治法」に出てくる「公の施設」って結局どんな施設?と疑問に思っている方
  • 行政書士試験で「地方自治法」の理解を深めたい受験生
  • 「住民の利用権」や「指定管理者制度」についてシンプルに整理したい方
目次

🏛️「公の施設」とは?住民の福祉のための施設

公の施設」とは、地方公共団体が住民の福祉を増進させるために、住民に利用させることを目的として設けた施設のことです(244条1項)。たとえば、市民会館、図書館、公園、スポーツセンターなどがこれにあたります。

👥住民の利用権と差別的取り扱いの禁止

住民は、公の施設を利用する権利を持っています。
そのため、地方公共団体は正当な理由がない限り、住民の利用を拒否してはいけません244条2項)。また、不当な差別的取り扱いも禁止されています(244条3項)。 ▶判例

🏗️設置・管理は条例で決定

公の施設の設置や管理に関するルールは、原則として条例で定める必要があります244条の2第1項)。1
ただし、法律や政令で特別な定めがある場合は、そちらに従います。

🛑廃止や長期・独占利用には議会の同意が必要

条例で「重要」と定められている施設のうち、特に重要な施設廃止したり、長期間にわたって特定の者に独占的に使わせたりする場合は、議会3分の2以上の同意が必要です(244条の2第2項)。

👥指定管理者制度とは?

地方公共団体は、公の施設の目的を効果的に達成するため、条例の定めるところにより、民間事業者などを「指定管理者」として選び、施設の管理を任せることができます244条の2第3項)。2

この場合、次のようなルールが条例で定められます(244条の2第4項)。3

  • 指定管理者の指定手続
  • 管理の基準業務の範囲
  • その他必要な事項

また、指定管理者を指定する際は、あらかじめ議会の議決が必要です(244条の2第6項)。

さらに、適当と認めるときは、指定管理者に施設利用料を自己の収入として収受せることも可能です(244条の2第8項)。

公の施設は「区域外」にも設置できる?

地方公共団体は、他の地方公共団体と協議することで、その区域外に施設を設置することも可能です(244条の3第1項)。4
ただし、協議を行うには、関係地方公共団体の議会の議決が必要です(244条の3第3項)。

利用に関する処分に不服がある場合の「審査請求」

もし公の施設の利用に関して、地方公共団体の長以外の機関(たとえば指定管理者など)が不利な処分をした場合でも、審査請求の相手は、普通地方公共団体の長になります(244条の4第1項)。
これは、たとえその長が当該機関の「最上級行政庁」でなくても同じです。

📝まとめ

項目内容
公の施設とは地方公共団体が住民の福祉のために利用させる施設
利用の権利正当な理由なく拒否・差別的扱いは禁止
管理方法原則として条例で規定
指定管理者制度民間に管理を委ねる制度(議会の議決が必要)
区域外設置他の自治体と協議すれば可能(議会の議決が必要)
審査請求指定管理者の処分でも首長に請求
  1. 具体例:使用料の額や、住民による使用申込・使用承諾の制度など ↩︎
  2. 参考:指定管理者は、団体でなければならない(ただし、法人である必要はない) ↩︎
  3. 参考:指定管理者の指定の手続は条例によって定めなければならないが、指定それ自体は必ずしも条例によって定める必要はない。 ↩︎
  4. 具体例:リゾート地に置かれる県民の保養施設など ↩︎
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