会社法4-8:「代表取締役」とは?選び方・権限・表見代表取締役までわかりやすく解説!

✅この記事はこんな人におすすめ
  • 「代表取締役」と「取締役」の違いがよくわからない
  • 会社法で出てくる「取締役会設置会社」や「表見代表取締役」って何?と思っている
  • 行政書士試験で出題されやすい代表取締役の選定・権限・責任を整理したい
目次

代表取締役とは?簡単にいうと「会社を代表する人」

代表取締役とは、会社を外部に対して代表し、業務を執行する取締役のことです。
つまり「会社の顔」として契約や交渉などを行う中心人物です。

代表取締役の選ばれ方は、取締役会の有無で異なる

代表取締役は、会社の種類によって選び方が異なります。

取締役会設置会社の場合

取締役会がない会社の場合

次のいずれかの方法で選ばれます(349条3項)。

  • 定款の定めによる方法
  • 定款の定めに基づく取締役の互選(話し合いで選ぶ)
  • 株主総会の決議によって取締役の中から選ぶ

代表取締役は1人でも複数でもOK

代表取締役の人数に法律上の制限はありません。
1人だけでも、複数名いても問題ありません。

代表取締役を辞めるときは?取締役も辞めたら自動的に退任

代表取締役でいられるのは、取締役であることが前提です。
そのため、取締役を辞めたり、任期満了などで退任すると、代表取締役の地位も自動的に失われます。

ただし逆に、代表取締役を辞めても、取締役として残ることは可能です。

代表取締役の権限はとても強い!裁判も契約も会社を代表できる

代表取締役は、会社の業務に関して、裁判上も裁判外もすべての行為を行う権限(包括的代表権)を持ちます(349条4項)。

また、仮に定款などでその権限を制限していても、その制限は善意の第三者には主張できません(対抗できません)349条5項)。1
つまり、外部の取引相手には「うちの代表は契約の権限ないんです」と言っても通用しません。

👉なお、代表取締役が代表権の一部を他の取締役に譲ることはできません(取締役会決議があっても不可)。

表見代表取締役とは?実際には代表権がないのに、あるように見える人

表見代表取締役(ひょうけんだいひょうとりしまりやく)」とは、
実際には代表権がないのに、社長や副社長などの肩書で、会社を代表しているように見える人のことを指します。

このような人が、外部の人(善意の第三者)と契約などをした場合でも、会社が責任を負うことになります(354条)。

表見代表取締役が成立する3つの条件

表見代表取締役と認められるためには、以下の要件をすべて満たす必要があります(354条)。

  • 代表と誤解させる肩書や名称があること
    例:社長・副社長・頭取・総裁などの名称が付されている場合

  • 会社がその名称を認めていたこと
    例:会社がその名称を正式に与えた、あるいは黙認していたケース

  • 相手方(取引先など)が善意であること
    つまり「この人が代表だ」と信じていたこと
    さらに、判例では条文上は「善意」としか規定されていないが、「善意かつ無過失」であることが求められます(最判昭52.10.14)。

まとめ:代表取締役のポイントをおさらい!

  • 代表取締役は、会社を代表して業務を行う中心人物
  • 選び方は、取締役会の有無によって異なる
  • 包括的な代表権を持ち、外部に対して強い権限がある
  • 表見代表取締役制度により、見かけ上の代表でも会社が責任を負うことがある
  1. 判例:代表取締役が代表権を濫用した場合、民法107条により、相手方が代表取締役の意図につき悪意または有過失のときは、会社は当該代表取締役の代表行為の効力を否定することができる(最判昭38.9.5)。 ↩︎
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