会社法3-5:株券

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株券の発行

株券とは、株主の地位を表す有価証券。株券は、原則として発行しないこととされており、定款で株券を発行すると決めた場合に限って発行することができる(214条)。このように、株券の不発行が原則とされたのは、株券を発行しないほうが株式の取引を迅速に行うことができるため。1

善意取得

株券の占有者は、適法な所持人と推定される(131条1項)。そして、株券の占有者から株券の交付を受けた者は、悪意または重大な過失がない限り株式を取得できる(131条2項)。これを善意取得という。

株主の保護

株券を紛失した場合、その株券を手に入れた者が善意・無重過失の第三者に譲渡してしまうと、善意取得により株式を取得され、元の株主は株式を失うことになる。こういったことをあらかじめ防止するために、次のような制度が設けられている。

①株券不所持制度

株主は、株券の所持を希望しない旨を申し出ることができる(217条1項)。これを株券不所持制度という。

②株券失効制度

株主は、株券を紛失した場合、会社に対して株券喪失登録簿に記載・記録することを請求することができる(221条223条)。喪失登録されている株券については、名義書換や議決権行使が制限され、その登録後1年を経過すると、当該株券は無効となる。これを株券失効制度という。2

  1. 参考:株券を発行する旨を定款に定めた会社は、原則として、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない(215条1項)。ただし、非公開会社の場合、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる(215条4項)。 ↩︎
  2. 参考:何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る)について、閲覧の請求をすることができる(231条2項本文)。 ↩︎
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