会社法3-5:「株券」とは?発行のルール・善意取得・株主を守る制度までやさしく解説

🎯 この記事はこんな人におすすめ!
  • 「株券」ってそもそも何?と疑問に思っている方
  • 善意取得や株券失効制度など、用語の意味をスッキリ整理したい方
  • 行政書士試験で会社法を勉強中の方
  • 試験によく出るポイントを、短時間で理解したい方
目次

💡 株券とは?基本のキホンを押さえよう!

株券とは、株主としての地位を証明する紙(有価証券)のことです。かつては株主に株券を発行するのが一般的でしたが、現在では次のように法律が変わっています。

🔸 株券の発行は原則「しない」

現在のルールでは、株券は原則として発行しないことになっています。発行する場合は、定款にその旨を定めておく必要があります214条)。

なぜ発行しないのが原則かというと、株券がないほうが株式の売買(譲渡)をスピーディーに行えるからです。1

🔍 善意取得とは?~持っている人が本物とは限らない~

株券は紙の証明書なので、持っている人が必ずしも正当な株主とは限りません。そこで問題になるのが「善意取得」という考え方です。

🔸 善意取得のルール

  1. 株券を持っている人は、正当な持ち主だと推定されます131条1項)。
  2. そして、その人から株券を受け取った人が、悪意または重大な過失がないない限り、その人は株式を取得できます(131条2項)。

このように、「知らずに受け取った人を守る仕組み」が善意取得です。

🛡️ 株主を守るための制度とは?

株券を紛失して、その株券を手に入れた者が善意・無重過失の第三者に譲渡してしまうと、善意取得により株式を取得されて、元の株主は株式を失うことになります。こういった本当の株主の不利益をあらかじめ防止するために、次のような制度が用意されています。

①株券不所持制度(会社法217条)

株主は、「私は株券を持ちたくない」と会社に申し出ることができます217条1項)。
これを「株券不所持制度」といいます。持たないことで、紛失や盗難のリスクを避けることができます。

②株券失効制度(会社法221条〜223条)

株券を失くしてしまった場合は、会社に「株券をなくしました」と届け出ることで、
株券喪失登録簿」に記載してもらえます(221条223条)。

その株券は以下のように扱われます。

  • 名義の書き換え議決権の行使ができなくなる
  • 登録から1年が経過すると、その株券は無効になる

これを「株券失効制度」といいます。2
悪用されるリスクを事前に防げる制度です。

✅ まとめ:株券のルールは現代型にアップデートされている

ポイント内容
株券の発行原則は発行しない。定款に定めればOK
善意取得知らずに株券を受け取った人は株式を取得できる
株主の保護制度株券不所持制度・株券失効制度

行政書士試験でも頻出のテーマなので、基本のルールをしっかり押さえておきましょう!

  1. 参考:株券を発行する旨を定款に定めた会社は、原則として、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならない(215条1項)。ただし、非公開会社の場合、株主から株券の発行を請求された段階で初めて株券を発行すれば足りる(215条4項)。 ↩︎
  2. 参考:何人も、株券発行会社の営業時間内は、いつでも、株券喪失登録簿(利害関係がある部分に限る)について、閲覧の請求をすることができる(231条2項本文)。 ↩︎
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