🎯この記事はこんな人におすすめ
- 「募集株式の発行」って何?と疑問に思っている行政書士受験生
- 株主割当・第三者割当の違いを押さえたい方
- 手続の流れや無効になるケースを簡単に知りたい方
- 民法・会社法の理解を深めたい法律初学者
目次
💡募集株式の発行等とは?
「募集株式の発行等」とは、会社が「新株の発行」したり、「自己株式を処分」することをまとめて表した言葉です。
これは、会社がお金を集める(資金調達)ための方法の一つで、すでに会社が設立された後に行われるものです。
✨2つの割当方法
募集株式の発行には、次の2パターンがあります。
割当方法 | 内容 |
---|---|
株主割当て | すでに株を持っている株主に、持ち株数に応じて新しい株を割り当てる方法。 |
第三者割当て | 株主以外の外部の人(第三者)に対して、新株を割り当てる方法。 |
📋募集株式発行の手続きの流れ
① 募集事項の決定(誰が決める?)
新しく株を出すには、次のような「募集事項」(例:何株出すか、1株いくらか)を決める必要があります。
誰がこの決定をするかは、会社の種類と割当方法によって異なります。1
公開会社 | 非公開会社 | |
---|---|---|
株主割当て | 取締役会決議 | 原則:株主総会の特別決議 例外:定款の定めにより、取締役の決定(取締役会設置会社の場合、取締役会決議)とすることができる。 |
第三者割当て | 取締役会決議 | 原則:株主総会の特別決議 例外:株主総会の特別決議により、取締役の決定(取締役会設置会社の場合、取締役会決議)に委任することができる。 |
② 出資の履行(お金を払う段階)
株式を受け取るには、払込期日または払込期間内に、次のどちらかで「出資」をする必要があります。
もし、期限内に払込がされなければ、その人は株主になる権利を失います(208条5項)。
③ 株主になるタイミング
いつ株主になるかは次のとおりです(209条1項)。
- 払込期日がある場合:その払込期日に株主になる
- 払込期間がある場合:実際に出資を履行した日に株主になる
⚠️違法な募集株式の発行に対する措置
■ 株主による差止め請求(210条)
次のような場合、株主は、株式会社に対し差止め請求ができます(210条)。
- 法令・定款に違反している
- 著しく不公正な方法で行われる
- その結果、株主が不利益を受けるおそれがあるとき
■ 無効の訴え(828条)
すでに発行された株式でも、次のような場合は無効を訴えることができます(期限付き!)
📅 無効の訴えは、
- 公開会社:発行の効力が生じてから6カ月以内
- 非公開会社:1年以内
に訴えをもってのみ主張することができます(828条1項2号・3号)。
無効原因に当たるかどうかは、次のとおりです。
内容 | 無効になるか? |
---|---|
発行できる株式総数を超えて発行 | ✅無効になる |
公告や通知をしなかった | ✅無効になる 例外:募集株式発行差止め請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれが許容されないと認められる場合を除く(最判平9.1.28) |
代表取締役が取締役会決議がないまま発行 | ❌無効にならない(最判昭36.3.31) |
株主総会の特別決議なしに第三者に有利発行 | ❌無効にならない(最判昭46.7.16) |
✅まとめ:ここを押さえよう!
- 「募集株式の発行等」は新株の発行+自己株式の処分
- 割当方法は「株主割当」と「第三者割当」の2つ
- 違法な発行には「差止め」や「無効の訴え」ができる
- 非公開会社では、株主総会の特別決議が基本