🎯この記事はこんな人におすすめ
- 「資本金ってそもそも何?」と疑問を感じている方
- 行政書士試験で会社法の理解を深めたい方
- 資本金のルールや減少の手続きについて基礎から知りたい方
- 株式会社の仕組みに興味のあるビジネスパーソンや起業家の方
目次
資本金とは?なぜ必要なの?
株式会社は、株主が出資することで成り立つ会社です。ただし、株主は会社の借金を返す責任を直接は負いません(これを「間接有限責任」といいます)。
そのため、会社がきちんとした財産を持っておくことがとても大切です。もし会社にお金がなかったら、取引先や債権者(お金を貸した人)は困ってしまいますよね。
そこで登場するのが「資本金制度」です。これは、会社が一定額の財産(資本金)を会社の中に確保しておくようにする仕組みです。1
💡昔は「資本金1000万円以上」などの最低ラインが決まっていましたが、今はこのルールは廃止されています。
資本金制度の2つの大原則
株式会社の資本金制度には、次の2つの重要な考え方があります。
- 資本維持の原則
会社は、資本金と同じだけの財産を実際に持っていなければならないというルールです。これは、債権者を守るためのしくみです。 - 資本不変の原則
資本金は簡単には増やしたり減らしたりできないことになっています。これも、会社の信用を守るための大切な原則です。
資本金の金額はどう決まる?
原則として、資本金の額は「株主が会社に出資した財産の総額」です(445条1項)。
ただし、例外として出資額のうち2分の1を超えない額は資本金にしなくてもよいことになっています(445条2項)。その代わり、その分は「資本準備金」として計上しなければなりません(445条3項)。
🔄 資本準備金って何?
たとえば会社が損失を出して、資本金が減ってしまったとき。この資本準備金を使って、資本金を補うことができます。まさに会社の「予備費」的な存在ですね。
資本金を減らすときのルール
会社が資本金の額を減らしたいときには、勝手にはできません。原則として株主総会の特別決議が必要です(447条1項、309条2項9号)。
さらに、会社と取引している債権者の保護も必要です。債権者が異議を述べる機会を設け、意義を述べた場合には、債務の弁済などの対応をする必要があります(449条)。
例外:特別決議が不要な場合もある
すべてのケースで厳しい決議が必要なわけではありません。次のような場合には、特別決議なしで資本金を減らせることもあります。
- 株主総会の普通決議で足りる場合
- 定時株主総会で欠損を填補するために資本金の額の減少をする場合(309条2項9号かっこ書、447条1項)
- 剰余金の額を減少させて資本金の額を増加させる場合(450条1項、309条1項)。
- 取締役の決定(取締役会設置会社では取締役会決議)で足りる場合
株式の発行と同時に資本金の額を減少させる場合において、効力発生日後の資本金の額が効力発生日前の資本金の額を下回らないとき(447条3項)
まとめ
資本金制度は、会社の信用や債権者の安全を守るためのとても大切なルールです。
✅ ポイントおさらい
- 株式会社は資本金制度により一定の財産を確保する必要がある
- 「資本維持の原則」「資本不変の原則」という2つのルールがある
- 資本金を減らすときは、原則として特別決議+債権者保護が必要
- 一部のケースでは普通決議や取締役の決定でOK
- 参考:資本金は、登記および貸借対照表によって工事されるが(911条3項5号、計算規則76条2項1号)、定款に記載・記録されるわけではない。 ↩︎