🧭この記事はこんな人におすすめ
- 行政書士試験の民法対策として「後見制度」の理解を深めたい方
- 「未成年後見」と「成年後見」の違いがよくわからない方
- 後見人の選任や資格、辞任の要件について整理したい方
- 後見制度に関する重要条文を効率よく学びたい方
目次
後見制度とは?——未成年後見と成年後見の違いを押さえよう
後見とは、判断能力がない未成年者や、精神上の障害により判断能力を欠く成人の財産や生活を保護する制度です。
後見が開始される原因は、以下の2つに大別されます(838条)
種類 | ケース | 内容 |
---|---|---|
未成年後見 | ① 親権を行う者がいない未成年者、または親権者に管理権がない場合 | 法定代理人が存在しない未成年者のために |
成年後見 | ② 家庭裁判所による後見開始の審判がなされた場合 | 主に判断能力を欠く成人に対して |
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後見人の選任方法を整理しよう
後見人の選任は、「未成年後見人」と「成年後見人」とでルールが異なります。以下の表にまとめました。
見人の選任は、「未成年後見」と「成年後見」とでルールが異なります。以下の表にまとめました:
項目 | 未成年後見人 | 成年後見人 |
---|---|---|
指定 | 遺言で指定可能(839条) | 遺言での指定は不可 |
選任 | 家庭裁判所が、利害関係人の請求で選任(840条1項) | 家庭裁判所が職権で選任(843条1項) |
追加選任 | 利害関係人の請求または職権で可能(840条2項) | 左に同様に追加可能(843条3項) |
法人の選任 | 可能。営利法人(株式会社等)も可(840条3項、843条4項) |
後見人は辞められる?——辞任の条件
後見人は、正当な事由があるときに限り、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます(844条)。つまり、「やりたくないから」などの理由だけでは辞められません。
後見人になれない人とは?
次のような人は、後見人に なれません(847条)。
利益相反行為への対応
後見人が被後見人と利益相反関係にある場合、家庭裁判所に対し「特別代理人」の選任を請求しなければなりません(860条、826条)1
ただし、成年後見人の場合で、後見監督人がいる場合は例外となります。
後見人の注意義務とは?
後見人は、後見事務を行う際に「善良な管理者の注意(善管注意義務)」をもって行動しなければなりません(869条、644条)。
これは、「普通の人以上にしっかり管理すべき」という意味で、後見人としての責任が重いことを示しています。
まとめ
後見制度は、行政書士試験における民法の重要分野のひとつ。
特に「未成年後見と成年後見の違い」「後見人の選任・辞任・資格制限」「利益相反の処理」「注意義務」など、細かなポイントが問われやすいため、確実に理解しておきましょう。
- 重要判例:共同相続人の1人が他の共同相続人を後見している場合に、後見人自らが相続放棄をした後に被後見人全員を代理してする相続放棄は、利益相反行為に当たらない(最判昭53.2.24) ↩︎